先渡取引
将来の期日に合意価格・合意レートで売買する。為替予約や金利先渡取引が代表例である。
店頭デリバティブの基本構造――金利スワップを中心に
相対契約、取引確認、法的相殺、担保、中央清算をつなぎ、金利スワップが約定後にどのように管理されるかを整理する
店頭デリバティブは、当事者間で想定元本、通貨、期間、受払条件、参照指標、決済方法などを合意して成立する金融契約である。 取引条件を目的に合わせやすい一方、約定した取引だけでなく、その取引へ適用する契約、相殺範囲、担保条件、清算状況を一体として管理する必要がある。
相対で条件を合意した取引を、契約・担保・清算・決済・記録まで一体で管理する。
店頭デリバティブは、取引所で売買する上場商品とは異なり、当事者間で条件を合意する。約定後は、契約条件に応じて担保管理を行い、相対決済または中央清算を経て、決済・記録・報告まで管理する。
同じ取引識別番号から、取引条件、契約、担保、清算・決済へたどれることが重要である。
店頭で成立した取引でも、要件を満たせば中央清算機関へ送られる。取引場所と清算方法は別の属性である。
将来の期日に合意価格・合意レートで売買する。為替予約や金利先渡取引が代表例である。
一定期間の受払を交換する。金利スワップ、通貨スワップ、異なる変動金利を交換するベーシス・スワップなどがある。
所定条件で取引する権利を扱う。為替オプション、スワップション、金利キャップ・フロアなどがある。
債務不履行などの信用事由に伴う損失を移転する。クレジット・デフォルト・スワップが代表例である。
エネルギー、金属、農産物などを参照する先渡取引、スワップ、オプションである。
株式・株価指数を参照するスワップや店頭オプションである。配当や企業行動も条件へ影響し得る。
| 役割 | 具体的な主体・公開例 | 主な役割 |
|---|---|---|
| 取引当事者 | 銀行、証券会社、保険会社、事業会社、ファンドなど | 市場リスクの調整、投資、顧客取引の仲介などを目的に取引する。 |
| 業界文書・定義 | 国際スワップ・デリバティブズ協会(ISDA) | 基本契約、商品定義集、担保文書などの標準的な枠組みを提供する。 |
| 中央清算機関 | 日本証券クリアリング機構(JSCC) | 対象となる円金利スワップの債務を引き受け、証拠金・決済・破綻管理を行う。 |
| 参照金利の公表・運営 | 日本銀行、全銀協TIBOR運営機関 | TONA、日本円TIBORなど、変動金利計算の基礎となる指標を公表・運営する。 |
| 照合・圧縮等のサービス | 電子照合事業者、担保照合事業者、圧縮サービス事業者 | 取引条件の照合、担保差異の照合、取引件数・想定元本の圧縮を支援する。 |
店頭デリバティブでは、複数取引に共通する基本契約と、個々の取引条件を記録する取引確認書を組み合わせる。 ISDA基本契約を用いる場合、標準条項を当事者間で修正・選択する個別修正条項と、担保条件を定めるCSA(Credit Support Annex:担保授受に関する付属契約)を関連付けるのが一般的である。
契約書名や優先関係は締結文書によるため、標準構造を固定的に当てはめない。
| 文書・階層 | 主な役割 | システム上の管理 |
|---|---|---|
| 基本契約 | 支払、表明、債務不履行、期限前終了、法的相殺などの共通枠組み。 | 契約識別番号、版、準拠法、契約当事者、発効日、終了日。 |
| 個別修正条項 | 標準条項に対する当事者固有の選択・修正。 | 選択条項、修正内容、適用開始日、文書原本、承認状態。 |
| 取引確認書 | 個別取引の元本、レート、日付、参照指標、計算方法、受払方向。 | 取引識別番号、確認状態、照合状態、不一致項目、確定日時。 |
| 担保契約 | 担保評価、担保請求、最低移転額、適格担保、担保掛目、差異処理。 | 担保契約識別番号、担保対象集合、条件履歴、適格担保、紛争条項。 |
相手方信用リスクとは、取引価値が自社にとってプラスであるときに、相手方の破綻などによって受取額を回収できないリスクである。 複数取引を相殺できる場合、取引ごとのプラス価値を単純合計するのではなく、契約で定めた対象範囲の純額を基礎として管理できる。
同一日・同一通貨など、契約で定めた条件を満たす複数の支払をまとめ、差額を決済する。日常の決済件数・資金量を減らす仕組みである。
債務不履行などの際に対象取引を終了・評価し、一本の純額債権または債務へまとめる。法的有効性の確認が前提となる。
| 確認対象 | 主な内容 | システム上の注意 |
|---|---|---|
| 契約範囲 | どの基本契約・取引が同じ相殺単位に含まれるか。 | 法人、支店、契約、商品、通貨を一つの相殺フラグへまとめない。 |
| 法的有効性 | 準拠法、相手方法域、倒産手続、契約条項、法的意見。 | 法的意見の対象・有効日・更新日・例外を保持する。 |
| 評価方法 | 期限前終了額、通貨換算、価格取得、計算主体。 | 通常時価と期限前終了額の定義を分ける。 |
| 利用目的 | 担保、信用限度、会計、自己資本比率規制など。 | 目的ごとの相殺要件を同じ判定結果として使い回さない。 |
CSAは、店頭デリバティブの担保授受条件を定める文書である。 日々の時価、既存担保、契約上の基準額、最低移転額などから担保請求額を計算し、相手方との照合後に現金・証券を移転する。
非清算店頭デリバティブの証拠金規制が導入されても、従来から締結していたCSAが一律に終了し、同じ形式の新しいCSAへ置き換わるわけではない。 当事者間の合意により、既存CSAを改定する方法、規制対象となる変動証拠金のためのCSAを別に締結する方法、既存取引を新しい契約の対象へ含める方法などがある。 そのため、本ページでは「旧CSA」ではなく「従来型・既存CSA」と表記する。
| 契約区分 | 主な役割・対象 | 契約関係の整理 | システム上の管理 |
|---|---|---|---|
| 従来型・既存CSA | 当事者間で合意した信用リスク管理。規制導入前の取引や規制対象外取引を含むことがある。 | そのまま存続する場合と、規制対応のため改定される場合がある。契約内容により規制対象取引を含むこともある。 | 契約目的、対象取引、基準額、最低移転額、適格担保、版、適用期間を保持する。 |
| 規制対応VM CSA | VM(現在までの時価変動を反映する変動証拠金)について、証拠金規制の対象取引へ対応する。 | 既存CSAの改定または別CSAの締結などにより対応する。文書方式を一律に決め付けない。 | 規制対象判定、対象取引集合、適用開始日、日次計算、請求・合意・決済を関連付ける。 |
| IM関連契約 | IM(破綻後の処理期間中に生じ得る価格変動へ備える当初証拠金)の計算、授受、分別管理に対応する。 | CSAに加え、信託設定や第三者保管などの契約が組み合わされる場合がある。 | 計算方法、規制上の基準額、分別管理、再利用可否、信託・保管先、担保の帰属を保持する。 |
| 主な条件 | 平易な意味 | 管理上の注意 |
|---|---|---|
| 変動証拠金(VM) | 既に生じた時価変動による現在の信用額を埋める担保。 | 評価日、請求額、合意額、決済額、未解決差額を分ける。 |
| 当初証拠金(IM) | 相手方破綻後、取引を解消・再構築するまでの将来変動へ備える担保。 | 規制対象、計算方法、基準額、分別管理、保管先を確認する。 |
| 契約上の基準額 | 信用額が一定額に達するまで担保移転を求めない条件。 | 規制上の当初証拠金基準額とは別概念として持つ。 |
| 最低移転額 | 少額の担保移転を繰り返さないための最小請求単位。 | 端数処理と分け、請求・返還の双方で条件を確認する。 |
| 適格担保 | 契約上差し入れ可能な現金・国債など。 | 通貨、発行体、満期、集中制限、保管場所を保持する。 |
| 担保掛目 | 価格変動や通貨差を考慮し、市場価値から差し引く割合。 | 市場価値、掛目、担保評価額、適用日を別項目で持つ。 |
| 担保差異 | 時価、担保残高、請求額などが双方で一致しない状態。 | 争いのない金額、争点、期限、担当、解決履歴を管理する。 |
担保請求額と実際の決済額は同じとは限らない。
店頭で約定した取引は、当初当事者間に残る非清算取引と、中央清算機関へ送られる中央清算取引に分かれる。 中央清算では、債務負担または更改により中央清算機関が双方の法的相手方となり、証拠金・決済・破綻管理の仕組みが変わる。
約定時の相手方と、清算受理後の法的相手方を分けて持つ。
| 観点 | 非清算取引 | 中央清算取引 |
|---|---|---|
| 法的相手方 | 原則として当初の取引当事者。 | 清算受理後は中央清算機関。 |
| 相殺単位 | 基本契約と法的意見に基づく相殺対象集合。 | 中央清算機関の規則・口座区分に基づく清算単位。 |
| 担保・証拠金 | CSAと適用規制に基づく変動証拠金・当初証拠金。 | 中央清算機関の規則に基づく変動証拠金・当初証拠金など。 |
| 主な識別情報 | 原取引、基本契約、担保契約、相殺対象集合。 | 原取引、清算取引、中央清算機関、清算参加者、顧客・自己口座。 |
| 破綻時の管理 | 契約上の期限前終了・一括清算・担保実行。 | 中央清算機関の破綻管理・証拠金・清算基金等の仕組み。 |
日本証券クリアリング機構(JSCC)は、所定の条件を満たす円建て金利スワップを清算対象としている。 公開されている清算対象には、TONA(無担保コール翌日物金利)を参照するOIS(翌日物金利スワップ)、日本円TIBORを参照する固定対変動スワップ、期間の異なる日本円TIBOR間やOISと日本円TIBOR間のベーシス・スワップが含まれる。
| 公開されている具体例 | 内容 | システム化の示唆 |
|---|---|---|
| 清算対象商品 | 円建てTONA OIS、日本円TIBORの1か月・3か月・6か月物、同一指標の期間差・OISとのベーシス・スワップ。 | 商品名だけでなく、通貨、参照金利、期間、満期、元本形態、日数計算等で適格性を判定する。 |
| 清算参加者 | 公開一覧には、三菱UFJ銀行、三井住友銀行、みずほ銀行、りそな銀行、野村證券、大和証券などが掲載されている。 | 取引当事者、清算参加者、受託清算参加者、清算委託者を別の役割として持つ。 |
| クライアント・クリアリング | 清算参加者を通じて、銀行、保険会社、ファンドなどの清算委託者が利用する仕組みがある。 | 顧客・自己口座、清算委託者、受託清算参加者、担保・証拠金の帰属を区別する。 |
| 取引圧縮 | JSCCはTriOptima社のtriReduceやQuantile社のサービスを利用した一括コンプレッションの実施を公表している。 | 圧縮前取引、解約取引、置換取引、残存取引を親子関係で追跡する。 |
| 証拠金試算 | JSCCはOpenGamma社による試算ツールやBloomberg経由の利用例を案内している。 | 社内試算値と中央清算機関の正式請求額を区別し、計算版・時点を保持する。 |
金利スワップは、同一通貨の想定元本を計算の基礎として、一定期間の金利受払を交換する店頭デリバティブである。 代表的な固定対変動金利スワップでは、一方が固定金利を支払い変動金利を受け取り、もう一方が反対方向の受払を行う。通常、想定元本そのものは交換しない。
想定元本は金利計算の基礎であり、同一通貨の標準的な金利スワップでは通常交換しない。
各側に、金利、日数計算、計算期間、支払頻度、休日調整などを設定する。
| 観点 | 固定金利側 | 変動金利側 |
|---|---|---|
| 金利 | 約定時に固定金利を定める。 | 参照金利と計算方法に従って期間ごとに変動する。 |
| 主な条件 | 固定金利、日数計算、支払頻度、休日調整。 | 参照金利、期間、上乗せ幅、観測方法、複利方法、日数計算。 |
| 金額確定 | 元本・日付が変わらなければ将来金額を算出しやすい。 | 必要な金利観測が完了するまで確定しない場合がある。 |
| 主な市場データ | 将来の固定金利受払を割り引く曲線。 | 将来の変動金利を推計する曲線と割引曲線。 |
固定金利を支払い、変動金利を受け取る。固定金利資産の金利特性を変動化する場合などに利用され得る。
固定金利を受け取り、変動金利を支払う。変動金利資産・負債の金利特性を固定化する場合などに利用され得る。
TONAは、日本銀行が公表する無担保コール翌日物金利である。 OISは、TONAのような翌日物金利を期間中に観測し、契約で定めた複利計算などにより変動金利を求めるスワップである。 日本円TIBORは、全銀協TIBOR運営機関が算出・公表する銀行間取引金利指標であり、日本円TIBORを参照する金利スワップも存在する。
期間中のTONAを観測し、後決め複利などの契約方式に従って利息を計算する。観測日・参照元・複利方法が重要である。
日本円TIBORの所定期間を参照し、あらかじめ定めた金利決定日に変動金利を確定する。
TONAと日本円TIBOR、または日本円TIBORの異なる期間などを交換し、必要に応じて上乗せ幅を加える。
銀行は、貸出・債券・預金・市場調達から生じる金利リスクを調整するために金利スワップを利用する。目的は相場方向への投資だけではなく、資産と負債の固定・変動構成や金利更改時期を整えることにある。
固定金利を受け取る貸出・債券に、固定払い・変動受けスワップを組み合わせ、経済的な金利特性を変動金利へ近づける。
変動金利で調達する負債に固定払い・変動受けスワップを組み合わせ、変動支払と変動受取をおおむね相殺して、全体を固定金利支払へ近づける。
特定年限の金利感応度が偏っている場合に、対応する年限のスワップを利用して金利リスクを配分する。
顧客へ提示したデリバティブの市場リスクを、他の市場取引や中央清算取引で再調整する。
変動金利側では、計算期間、金利観測、利率・利息確定、支払を区別する。TONA OISでは期間中の日々の金利を用いるため、一つの金利値だけで支払額が決まるとは限らない。
休日調整、観測方法、支払までの日数は契約条件に従う。
| 管理項目 | 主な内容 | 注意 |
|---|---|---|
| 計算期間 | 開始日、終了日、日数計算、短期・長期の変則期間。 | 予定日と休日調整後の日付を分ける。 |
| 金利観測 | 参照金利、観測日、公表日時、公表元、訂正値。 | 初回値と訂正値を上書きせず保持する。 |
| 利息計算 | 想定元本、利率、上乗せ幅、複利方法、日数計算、端数処理。 | 計算式と規則版を再現可能にする。 |
| 支払 | 支払日、通貨、金額、相殺キー、決済口座、状態。 | 予定、確定、指図済み、決済済み、失敗を区別する。 |
金利スワップの時価は、固定金利側と変動金利側の将来受払を市場金利から推計し、現在価値へ換算して求める。 将来の変動金利を推計する曲線と割引曲線を分ける場合があり、担保通貨や担保契約も評価へ影響し得る。
| 管理対象 | 主な内容 | 注意 |
|---|---|---|
| 将来受払 | 想定元本、金利、上乗せ幅、日数計算、計算期間、支払日。 | 未確定金利と確定値を区別する。 |
| 金利曲線 | 将来金利の推計、割引、ベーシス、担保通貨。 | 曲線識別番号、市場基準日、構築方法、補間方法を履歴化する。 |
| 時価 | 各受払側の現在価値、取引全体の現在価値、経過利息、各種調整。 | 担保請求、会計、リスク管理で定義・時点が異なる場合がある。 |
| 金利感応度 | 金利が小幅に動いた場合の価値変化、年限帯別の感応度、ベーシス感応度。 | 変化幅、年限帯、曲線、通貨、符号定義を保持する。 |
金利水準、金利曲線の形状、異なる指標間の価格差が動くリスク。
取引価値がプラスのとき、相手方破綻により受取額を回収できないリスク。
追加担保・証拠金を期限までに確保できない、または担保価値が下落するリスク。
リスク調整対象とスワップの元本、参照金利、日付、日数計算等が一致しないリスク。
曲線構築、補間、評価モデル、市場データ、手作業補正の誤りによるリスク。
契約不備、確認未了、金利取得誤り、支払失敗、担保差異、報告誤りによるリスク。
店頭デリバティブでは、商品条件から生じる金利等の受払、信用リスクを軽減する担保・証拠金、取引終了・変更に伴う受払を分けて管理する。
| 処理 | 概要 | 主な管理項目 |
|---|---|---|
| 契約上の受払 | 金利、オプション料、元本交換、期限前終了金など。 | 受払識別番号、発生原因、金額、通貨、支払日、相殺、決済状態。 |
| 担保・証拠金 | 非清算取引の担保、中央清算取引の当初・変動証拠金など。 | 必要額、請求、合意、担保資産、決済、返還、利息。 |
| 条件変更 | 元本、金利、日付、参照指標などを当事者合意で変更。 | 変更前後、適用日、理由、承認、確認書、規制報告。 |
| 部分解約 | 想定元本の一部を満期前に終了。 | 解約元本、残存元本、解約金、適用日、親取引。 |
| 取引移管・更改 | 当事者または債務関係を置き換える。 | 移管元、移管先、残存当事者、原取引・新取引の関係。 |
| コンプレッション | 複数取引を終了・再構成し、取引件数・想定元本を圧縮。 | 圧縮回次、解約取引、置換取引、残存取引、差額。 |
| 期限前終了 | 契約・合意・債務不履行などに基づき満期前に終了。 | 終了事由、終了日、計算額、決済、法的根拠。 |
取引
中央清算
担保請求
受払
取引変更
| データ領域 | 主な項目 | 主な管理上の注意 |
|---|---|---|
| 当事者 | 法人識別番号、法人名、支店、法域、業態、規制区分、信用限度 | 法人と取引上の役割を分け、合併・名称変更も履歴化する。 |
| 基本契約 | 契約識別番号、契約種別、版、準拠法、当事者、発効日、終了日 | 取引日時点で適用された契約版を再現する。 |
| 担保契約 | 担保契約識別番号、契約区分、契約目的、版、適用開始日・終了日、対象取引集合、基準額、最低移転額、端数処理、適格担保、担保掛目 | 従来型・既存CSA、規制対応VM CSA、IM関連契約を単純な新旧区分にせず、契約条件と規制要件を別属性で管理する。 |
| 取引・CSA対応 | 取引識別番号、基本契約識別番号、担保契約識別番号、担保計算単位、規制対象区分、適用開始日・終了日 | 取引日時点で適用されたCSAと担保計算単位を再現し、契約改定・対象移管の履歴を残す。 |
| 取引 | 取引識別番号、商品区分、取引日、開始日、満期日、通貨、想定元本、相手方 | 原取引、訂正版、清算取引、置換取引を関連付ける。 |
| 受払側 | 支払・受取、固定金利、参照金利、参照期間、上乗せ幅、日数計算、支払頻度 | 二つ以上の受払側を商品名へ埋め込まず、独立して持つ。 |
| 日付予定 | 計算開始日・終了日、金利観測日、金利決定日、支払日、休日カレンダー、変則期間 | 予定日、休日調整後日、実処理日を区別する。 |
| 参照金利 | 指標名、観測日、公表日時、金利、公表元、訂正状態 | 初回公表値、訂正値、取得日時、欠損時処理を保持する。 |
| 受払 | 受払識別番号、受払側、金額、通貨、支払日、相殺キー、決済状態 | 予定、確定、相殺、指図、決済を別状態として持つ。 |
| 評価 | 評価目的、評価日時、時価、通貨、金利曲線集合、市場データ時点、モデル版、感応度 | 結果だけでなく入力・モデル・手作業補正を再現する。 |
| 相殺 | 相殺対象集合、基本契約、対象取引、通貨、法的意見の状態・有効日 | 支払、担保、会計、規制の相殺範囲を一つにしない。 |
| 担保資産 | 担保資産識別番号、種類、通貨、発行体、市場価値、担保掛目、担保評価額、保管先、決済状態 | 差入れ・受入れ、所有権、再利用可否、返還義務を区別する。 |
| 担保請求 | 請求識別番号、担保契約、請求種別、信用額、必要額、請求額、合意額、差異額、期限 | 計算結果、通知、合意、決済、残高を別記録にする。 |
| 中央清算 | 清算状態、中央清算機関、清算参加者、顧客・自己区分、清算口座、原取引、清算取引 | 原相手方と清算後の法的相手方を分ける。 |
| 取引期間中の変更 | 処理識別番号、処理種別、適用日時、変更前後、親子取引、承認状態 | 更新後の取引だけを残さず、変更の連鎖を追跡する。 |
| 規制報告 | 清算義務、証拠金規制対象、報告状態、固有取引識別子、固有商品識別子、提出日時 | 取引の訂正・変更・評価・担保報告まで関連付ける。 |
| 証跡 | 情報源、処理者、処理日時、規則版、手作業補正、承認、根拠文書 | 誰が、何を根拠に、どの値を変えたかを再現する。 |
日本の店頭デリバティブ規制には、清算集中、取引情報の保存・報告、電子取引基盤、非清算取引の証拠金などがある。 適用可否は商品名だけでなく、当事者属性、取引規模、法域、グループ内取引、信託勘定、経過措置などにより変わる。
金融庁長官が指定する取引について、対象当事者・取引規模・適用除外を判定し、金融商品取引清算機関等へ債務を負担させる。
取引、変更、終了、評価、担保などの報告項目、識別子、提出期限、訂正履歴を管理する。
対象当事者・対象取引を判定し、変動証拠金・当初証拠金、担保適格性、分別管理などを管理する。
相手方信用リスク、信用評価調整、法的相殺、担保、中央清算機関向け信用額、流動性影響へ連携する。
| 判定単位 | 確認例 | システム上のポイント |
|---|---|---|
| 当事者 | 業態、登録、国内外、取引規模、グループ関係。 | 法人属性を基準日別に保持する。 |
| 取引 | 商品、通貨、参照金利、期間、取引日、清算適格性。 | 商品マスタだけでなく取引条件を使って判定する。 |
| 契約・勘定 | 信託勘定、基本契約、担保契約、グループ内取引。 | 会計勘定・契約関係を取引へ関連付ける。 |
| 報告 | 固有取引識別子、固有商品識別子、取引状態、評価・担保情報。 | 初回報告と変更・取消し・訂正報告を連鎖させる。 |
想定元本10億円、固定金利年1.00%、変動金利年1.20%、計算日数90日、日数計算を実日数/365日とする単純例を考える。 固定金利額は2,465,753円、変動金利額は2,958,904円となり、固定払い・変動受け側の差額受取は493,151円となる。 各金額は1円未満を四捨五入した例であり、実際は契約上の端数処理、休日調整、支払相殺に従う。
市場価値1億円の国債へ2%の担保掛目を適用する単純例では、担保評価額は9,800万円となる。 市場価値、担保掛目、担保評価額を同じ項目へ上書きせず、評価日・価格源とともに保持する。
相手方への現在の信用額が2億5,000万円、既に受け入れた担保評価額が1億8,000万円、契約上の基準額が0円、最低移転額が1,000万円とする。 担保不足は7,000万円であり、最低移転額を上回るため、この単純例の追加請求額は7,000万円となる。 実際は端数処理、未決済担保、利息、独立担保額なども確認する。
| 誤解 | 整理 |
|---|---|
| 店頭取引は中央清算されない。 | 相対で約定した後、対象商品・当事者・条件に応じて中央清算される取引がある。 |
| 証拠金規制への対応では、旧CSAを新CSAへ一律に置き換える。 | 既存CSAの改定、規制対応VM CSAの別締結、既存取引を新しい契約へ含める方法などがあり、契約構成は当事者間の合意による。 |
| CSAを締結すれば信用リスクはなくなる。 | 担保で軽減できるが、価格変動、担保差異、決済遅延、担保価値、法務のリスクは残る。 |
| 相殺は反対取引があれば自動的に認められる。 | 契約範囲と法的有効性の確認が必要であり、目的ごとの規制要件も異なる。 |
| 金利スワップでは想定元本を交換する。 | 標準的な同一通貨の固定対変動金利スワップでは通常、想定元本は計算の基礎であり交換しない。 |
| 清算受理後も元の相手方へ担保を差し入れる。 | 中央清算取引では中央清算機関・清算参加者・口座の関係に基づき証拠金を管理する。 |
| 日本円TIBORとユーロ円TIBORは同じである。 | 別の指標である。ユーロ円TIBORは公表停止しており、日本円TIBORは2026年時点で公表されている。 |
本節は、本文で確認した共通構造を個別商品へ当てはめるための参照資料である。最初からすべてを読むことを前提とせず、通常は商品名だけを表示し、必要な商品を開いて確認できる構成としている。 並び順は市場規模や名称順ではなく、前の商品で理解した受払、参照指標、状態、決済の考え方を、後の商品へ段階的に利用できる順とした。
| 段階 | 商品 | 前段から追加される主な論点 |
|---|---|---|
| 1 | 金利スワップ | 固定・変動金利、計算期間、金利決定、定期的な受払 |
| 2 | 翌日物金利スワップ、ベーシス・スワップ | 日々の金利複利計算、異なる変動金利間の差 |
| 3 | 通貨スワップ、為替スワップ | 複数通貨、元本交換、期近・期先の受渡し |
| 4 | 株式・商品・総合収益・信用スワップ | 価格・配当、商品仕様、総合収益、信用事由 |
| 5 | オプションの基本形 | 権利と義務、プレミアム、行使、イン・ザ・マネー等の状態 |
| 6 | キャップ、フロア、カラー、スワップション | 金利スワップの知識を利用する金利オプション |
| 7 | 原資産別・条件付きオプション | 固定額、平均値、バリア到達等の条件 |
| 8 | 通貨オプション | 二通貨の方向、通貨ペア、行使時の通貨受渡し、条件付き通貨オプション |
典型的には、変動金利借入れを実質的に固定金利化する、または固定金利資産の金利感応度を調整するために利用する。原資産の借入れ・債券とIRSは別契約であり、ヘッジ対象を自動的に同一取引とみなしてはならない。
固定金利支払側は同時に変動金利受取側であり、相手方はその逆となる。表示上のPay/Receiveだけではどの側を指すか曖昧になるため、固定側・変動側それぞれに支払者、受取者、条件を持たせる。
図8 金利スワップの固定側・変動側と主な受払
想定元本を共通の計算基礎としつつ、固定側と変動側を別々の条件で計算する。
| 固定金利額 | 想定元本 × 固定金利 × 固定側の日数計算期間。元本予定と利率予定を期間ごとに適用する。 |
|---|---|
| 変動金利額 | 想定元本 ×(参照金利+上乗せ幅)× 変動側の日数計算期間。金利決定日、参照期間、代替金利規定を反映する。 |
| 主要日付 | 取引日、発効日、開始日、各計算期間開始・終了日、金利決定日、支払日、満期日、期限前終了日。 |
| 計算規約 | 支払頻度、日数計算方式、休日カレンダー、営業日調整、端数期間、丸め、負の金利の扱い。 |
| 元本構造 | 一定元本、逓減元本、逓増元本、元本予定表。元本交換の有無は別属性とする。 |
固定側と変動側の計算結果を先に独立して確定し、その後に同一通貨・同一決済日・同一相手方等の契約条件を確認して差額化する。差額だけを保存すると、照合差異や再計算の根拠を失う。
| 分類 | 内容 |
|---|---|
| 固定対変動 | 最も基本的な形。固定側と単一の変動金利側を交換する。 |
| アモタイジング/アクレーティング | 想定元本が期間ごとに減少/増加する。元本予定と受払予定を関連付ける。 |
| フォワード・スタート | 約定後の将来日から金利交換を開始する。取引日と発効日を分ける。 |
| ゼロクーポン型 | 一方または双方の支払を満期等へ集約する。通常の定期支払型と受払生成が異なる。 |
| 期限前終了権付き | 解除権・延長権等を含む場合は、単純IRSにオプション性が加わる。 |
図9 固定側・変動側の計算期間と金利決定・支払
固定側と変動側は同じ想定元本を使っても、金利決定日、計算期間、支払頻度が一致するとは限らない。
約定後は、契約確認、必要に応じた中央清算への債務負担、各期の金利決定、受払計算、決済、日次評価、証拠金授受が並行して進む。期限前解約や取引圧縮は満期とは異なる終了事由として管理する。
| 約定場所 | 主としてOTC(店頭取引)。当事者間または電子取引基盤等で条件を合意する。 |
|---|---|
| 中央清算 | 標準化された一定のIRSはCCP(中央清算機関)で清算される。中央清算後の相手方・取引識別を原取引と分ける。 |
| 上場商品との違い | 金利先物やスワップ先物等は取引所商品であり、個別のIRSと同一ではない。 |
| 決済 | 通常は同一通貨の金銭決済。差額決済の範囲、決済口座、カットオフを契約・清算条件で確認する。 |
『店頭約定』と『相対清算』は同義ではない。店頭で成立したIRSが中央清算される場合があるため、約定場所と清算方法を別属性で管理する。
| データ群 | 主な項目 |
|---|---|
| 取引基本 | 取引識別番号、原取引識別、清算後識別、相手方、取引主体、通貨、約定日、発効日、満期日。 |
| 受払側 | 固定・変動区分、支払・受取、参照金利、利率、上乗せ幅、元本予定、頻度、日数計算方式、休日調整。 |
| 金利決定 | 決定対象期間、決定日、参照値、情報源、公表・訂正状態、代替処理、確定者・確定日時。 |
| 計算・決済 | 両側計算額、差額、通貨、支払日、決済口座、決済状態、取消し・再計算関連。 |
| イベント | 部分解約、圧縮、移管、契約変更、期限前終了、満期、対象元本、効力日、根拠。 |
借入れ・債券・預貸金等の金利構成を調整するとき、IRS単体の条件だけでなく、ヘッジ対象との対応、利払い日、元本予定、参照金利の不一致を確認する。
OISでは一つの決定日に公表された期間金利を使うのではなく、計算期間内の営業日ごとの金利と適用日数を積み上げる。このため、最終金利だけでなく日次観測明細を再現できることが商品処理の中心となる。
OIS取引の当事者は固定側と翌日物複利側を交換する。参照金利管理では、レート値だけでなく、どの日に適用する値か、何日分を複利へ組み込むかを保持する。
図10 翌日物金利スワップの日次観測と期間受払
翌日物金利の観測明細から複利計算して期間変動額を作る。
| 日次複利 | 各適用日の翌日物金利と日数割合を用いて日次係数を作り、計算期間全体で連乗する。契約所定の丸めを各段階へ適用する。 |
|---|---|
| 観測規約 | 観測期間のずらし、参照日の先行、支払日の後ずらし、金利固定期間等。名称だけで処理せず確認書の定義を使う。 |
| 休日処理 | 休日カレンダー、翌営業日までの適用日数、年末年始等の連続休日を反映する。 |
| 公表・訂正 | 速報・確報、公表時刻、未公表、訂正値、代替値の採否と確定時刻を管理する。 |
| 主要日付 | 計算期間、観測期間、各観測日、金利適用日、カットオフ、支払日、満期日。 |
期間金利または最終受払額だけを受領して保存すると、休日連続日数や訂正値による差異を追跡できない。日次係数、累積係数、採用値、除外値を保持する。
| 分類 | 内容 |
|---|---|
| 標準OIS | 固定側と翌日物複利側を定期的に交換する。 |
| 単一期間型 | 開始日から満期までを一つの計算期間として満期に決済する。 |
| 観測期間シフト型 | 金利観測期間と利息計算期間を所定日数ずらす。日付対応表が必要となる。 |
| ルックバック/支払遅延等 | 支払準備日数を確保するための規約。具体的意味は契約定義ごとに確認する。 |
| フォワード・スタート | 将来の政策金利経路等を参照するため、将来日から開始する。 |
図11 日々の翌日物金利から期間複利金利・受払額を作る
各観測日の金利と適用日数から日次係数を作り、契約規約に従って期間全体を累積する。
OISでは、計算期間開始時に観測スケジュールを確定し、各営業日に公表値を取り込み、期間終了時に複利結果を確定する。単なる一回のフィキシング処理ではない。
| 約定場所 | 主としてOTC。標準化された条件を用いる場合でも個別取引は店頭で成立する。 |
|---|---|
| 中央清算 | 一定の通貨・期間・商品仕様は金利スワップ清算の対象となり得る。清算機関の最新仕様を確認する。 |
| 上場商品との違い | 翌日物金利先物等は取引所商品であり、日々の値洗い・限月を持つためOISそのものではない。 |
| 決済 | 同一通貨の金銭決済。固定側・変動側計算額と差額を保持する。 |
OISという商品名だけで清算可否を決めず、通貨、参照金利、満期、開始日、支払頻度等を清算機関の商品要件と照合する。
| データ群 | 主な項目 |
|---|---|
| 契約条件 | 参照翌日物金利、固定金利、元本、観測・計算期間、複利規約、日数計算方式、丸め、支払日。 |
| 観測予定 | 観測日、金利適用日、適用日数、営業日区分、休日カレンダー、カットオフ対象。 |
| 日次実績 | 公表値、情報源、公表状態、採用値、訂正値、日次係数、累積係数、処理版。 |
| 計算結果 | 期間複利金利、固定側額、変動側額、差額、確定状態、再計算関連。 |
| 決済・例外 | 支払日、決済状態、未公表理由、代替規定、差額調整、承認者、証跡。 |
政策金利や翌日物資金調達に連動する金利リスクを管理するとき、固定金利との交換だけでなく、日次公表データの取得・訂正・休日処理まで業務要件に含める。
調達と運用で参照指標や金利期間が異なる場合、その差が変動するベーシスリスクを移転する。二つの変動側を独立した受払側として保持することが最重要である。
ベーシス・スワップは『変動金利』という共通項目を一つ持つだけでは表現できない。受払側A・Bそれぞれへ参照指標、期間、スプレッド、日付規約を関連付ける。
図12 ベーシス・スワップの二つの変動金利側
二つの変動側は、参照指標だけでなく金利期間や支払頻度も異なり得る。
| 側A計算 | 想定元本 ×(参照金利A+側Aスプレッド)× 側A日数割合。 |
|---|---|
| 側B計算 | 想定元本 ×(参照金利B+側Bスプレッド)× 側B日数割合。 |
| スプレッド | 適用側、加算・減算、ベーシスポイント等の単位、有効期間、段階変更を保持する。 |
| 日付 | 各側の金利決定日、計算期間、支払日、休日カレンダー。支払頻度が異なる場合の差額化条件を確認する。 |
| 指標停止 | 各参照金利ごとに代替指標・スプレッド調整・発効条件を管理する。 |
二つの変動側を単一の金利項目へ上書きすると、指標・期間・スプレッドの対応を失う。受払側を子明細として管理し、側ごとの計算結果を残す。
| 分類 | 内容 |
|---|---|
| 異指標型 | 異なる金利指標間を交換する。 |
| 異期間型 | 同一系列の異なる期間の金利を交換する。 |
| 翌日物対ターム物 | 日次複利の翌日物金利側と、期間開始前等に決まるターム金利側を交換する。 |
| 元本変動型 | 元本予定が変化する。両側の元本が一致するか個別に確認する。 |
| 通貨間ベーシス | 異なる通貨を伴うクロスカレンシー・ベーシスは、通貨スワップとして二通貨元本・決済も管理する。 |
図13 二つの変動側で金利期間・決定頻度が異なる例
変動側AとBは、参照指標だけでなく金利期間、決定日、支払頻度も異なり得る。
支払頻度が異なるベーシス・スワップでは、片側の複数受払と他側の一受払が対応することがある。日付が同じというだけで機械的に一対一対応させない。
| 約定場所 | 主としてOTC。指標・期間・スプレッドを個別に合意する。 |
|---|---|
| 中央清算 | 一定の標準商品は金利スワップ清算の対象となり得るが、指標組合せ等に依存する。 |
| 上場商品との違い | 異なる金利先物の組合せ取引は市場リスク上似ても、単一のベーシス・スワップ契約ではない。 |
| 決済 | 同一通貨の金銭決済が基本。両側の支払日・頻度が異なる場合の相殺条件を確認する。 |
商品名が同じでも、指標組合せ、テナー、スプレッド適用側により別商品同然となる。清算可否・評価モデル・市場データ曲線も条件に依存する。
| データ群 | 主な項目 |
|---|---|
| 受払側A/B | 側識別、支払・受取、参照指標、期間、決定日、頻度、日数計算方式、スプレッド、元本予定。 |
| 指標値 | 対象指標、適用期間、公表値、情報源、確定状態、代替値、訂正履歴。 |
| 計算結果 | 側別利息額、期間、通貨、支払日、差額、丸め、再計算版。 |
| 評価 | 各指標の割引・予測曲線、曲線版、評価日、感応度。 |
| イベント | 指標停止、代替発効、契約変更、部分解約、期限前終了。 |
資産と負債、調達と運用、ヘッジ対象とヘッジ手段の参照金利が異なる場合に、残る指標差リスクを調整する。
外貨調達や異通貨の資産・負債構成の調整に利用する。金利スワップへ通貨・元本受渡し・為替決済を加えた商品であり、二通貨の受払側を分ける。
通貨A側・通貨B側は、それぞれ通貨、元本、固定/変動、参照金利、頻度、日数計算方式を持つ。元本受払と利息受払は種類を分ける。
図14 通貨スワップの二通貨元本・利息交換
開始時、期間中、満期時で受払の種類と通貨が変わる。
| 元本 | 通貨A元本、通貨B元本、対応為替レート、開始時交換の有無、満期再交換の有無、元本予定。 |
|---|---|
| 利息 | 各通貨側の固定/変動区分、参照金利、スプレッド、頻度、日数計算方式。 |
| 為替 | 契約元本レート、評価用スポット・フォワード、元本再交換レート、換算通貨。 |
| 日付 | 開始時決済日、各通貨計算期間・支払日、満期元本日、各通貨休日カレンダー。 |
| 決済 | 各通貨の決済口座、支払指図、カットオフ、同時決済・決済リスク削減手段。 |
通貨換算後の単一差額だけを作るのではなく、実際に支払・受取する通貨別元本・利息を保持する。評価上の正味現在価値と決済上の受払を分ける。
| 分類 | 内容 |
|---|---|
| 固定対固定 | 両通貨側とも固定金利。 |
| 固定対変動 | 一方が固定、他方が変動。 |
| 変動対変動 | 両通貨側とも変動。クロスカレンシー・ベーシスを含む。 |
| 元本交換なし | 利息差等だけを交換する。通常形から元本受払を機械的に生成しない。 |
| 元本変動型 | 為替レートや予定表等により通貨別元本が変化する場合がある。 |
図15 開始時元本・期間中利息・満期元本を分けた時間軸
代表的な通貨スワップでは、二通貨の受払が開始時、期間中、満期時に異なる種類で発生する。
二通貨の決済日が休日調整でずれる場合や、利息支払頻度が異なる場合がある。通貨別受払の確定・指図・決済結果を親契約へ関連付ける。
| 約定場所 | 主としてOTC。通貨、期間、元本交換、金利条件を個別に合意する。 |
|---|---|
| 中央清算 | 清算可否は商品・通貨・機関仕様に依存する。非清算取引も多く、最新要件を確認する。 |
| 上場商品との違い | 通貨先物や金利先物の組合せは、個別の元本・利息交換を持つCCSそのものではない。 |
| 決済 | 二通貨の資金決済。CLS等の仕組みを利用する場合でも契約受払と決済サービス利用を別属性にする。 |
通貨スワップと為替スワップは名称が似るが、期間中の定期利息交換と契約構造が異なる。商品コードと受払パターンの両方で識別する。
| データ群 | 主な項目 |
|---|---|
| 通貨側 | 側識別、通貨、支払・受取、元本、固定/変動、参照金利、スプレッド、頻度、日数計算方式。 |
| 元本交換 | 開始時・満期時区分、通貨別金額、契約為替レート、決済日、元本交換有無、状態。 |
| 利息受払 | 計算期間、金利決定、通貨別計算額、支払日、差額化可否。 |
| 決済 | 通貨別口座、指図識別、照合、同時決済区分、カットオフ、決済結果、失敗理由。 |
| 評価・イベント | 評価通貨、各通貨曲線・為替、期限前終了額、部分解約、残存元本。 |
外貨資金の調達・運用や異通貨資産負債のヘッジでは、通貨別元本・利息・決済口座を資金繰りへ正しく連携する。
短期外貨資金の調達・運用や為替持高の期日調整に用いる。期近と期先は別々の決済レッグだが、価格・利用目的・残高管理上は一つの親取引へ関連付ける。
為替スワップは二つの為替レッグから成る。一方のレッグだけを訂正・取消し・決済失敗とする場合でも、親取引との関係を維持する。
図16 為替スワップの期近・期先二レッグ
期近と期先で二通貨の売買方向が反対になる。
| 期近条件 | 期近日、通貨A/B金額、期近レート、売買方向、決済口座。 |
|---|---|
| 期先条件 | 期先日、通貨A/B金額、期先レート、期近と反対の売買方向、決済口座。 |
| 価格表示 | 通貨ペア順、単位通貨、相手通貨、スワップポイントの桁・符号・加減算規則。 |
| 日付 | 取引日、期近日、期先日、各通貨休日、共同営業日、ロール規則。 |
| 決済 | 二通貨の指図、同時決済区分、ネッティング、カットオフ、決済失敗と再決済。 |
期先レートを期近レートとスワップポイントから導く場合も、約定値・計算値・表示値を区別する。通貨ペアの反転表示で符号や乗除を取り違えない。
| 分類 | 内容 |
|---|---|
| スポット・フォワード型 | 期近を通常のスポット日、期先を将来日に設定する代表形。 |
| フォワード・フォワード型 | 期近・期先の双方が将来日となる。 |
| 短期型 | 翌日物・翌々日物等の短い期間。休日・カットオフの影響が大きい。 |
| ロール | 既存期先と新たな期近・期先を組み合わせて期日を延長する。原取引終了と新取引を区別する。 |
| ノンデリバラブル型 | 契約通貨を現物受渡しせず、参照レートにより所定通貨で差金決済する形。通常の現物決済型と分ける。 |
図17 通貨スワップと為替スワップの契約レッグ比較
いずれも二通貨を扱うが、通貨スワップは期間中利息、為替スワップは期近・期先二レッグが中心となる。
取引後は期近指図、期近決済、期先の時価・資金予定、期先指図・決済へ進む。期近片側のみ完了する等の例外状態を扱う。
| 約定場所 | 主としてOTC外国為替市場。相対、電子取引基盤、仲介等で成立する。 |
|---|---|
| 中央清算 | 一般の現物受渡し型FXスワップでは相対決済が中心。適用商品・制度は最新要件を確認する。 |
| 上場商品との違い | 通貨先物は取引所で標準化された単一の期先契約であり、期近・期先二レッグのFXスワップではない。 |
| 決済 | 二通貨の元本決済。CLS等を利用する場合でも取引約定と決済サービスを分けて記録する。 |
BISの市場統計上も、FXスワップは通常、スポット取引と後日のアウトライト・フォワードを組み合わせる商品として通貨スワップと区別される。
| データ群 | 主な項目 |
|---|---|
| 親取引 | 取引ID、相手方、通貨ペア、取引日、期近日、期先日、売買方向、ロール関連。 |
| レッグ | 期近/期先、通貨別支払・受取、金額、レート、決済日、決済口座、指図ID。 |
| 価格 | 単位通貨、相手通貨、期近レート、スワップポイント、ポイント単位、期先レート、丸め。 |
| 決済 | 照合、同時決済区分、ネッティング、カットオフ、決済状態、失敗理由、再決済。 |
| イベント | 取消し、訂正、ロール、期限前終了、補償金、元取引・新取引関連。 |
短期外貨資金繰りでは、期近・期先の日付別、通貨別の元本額が直接資金予定へ影響するため、両レッグを完全に連携する。
現物を直接売買せずに株式収益へのエクスポージャーを得る、保有株式の価格変動を移転する、資金調達条件と組み合わせる等に利用する。参照銘柄と契約当事者を分ける。
契約当事者間では株式収益と資金調達側を交換する。参照銘柄の発行会社は通常、スワップ契約の当事者ではない。
図18 株式スワップの株式収益側と資金調達側
価格収益、配当、企業行動調整を株式収益側へ反映する。
| 株式収益 | 数量または想定元本 ×(評価価格-基準価格)に配当等を加減し、契約の乗数・為替換算を反映する。 |
|---|---|
| 資金調達側 | 想定元本 ×(固定/変動金利+スプレッド)× 日数割合。 |
| 評価条件 | 初期価格、最終・中間評価日、参照市場、価格情報源、平均化、終値・出来高加重平均等。 |
| 配当 | 実配当・予定配当、税・費用控除、配当落ち日・支払日、特別配当の扱い。 |
| 調整 | 株式分割・併合、権利発行、合併、上場廃止、市場障害、受渡不能等。 |
価格収益と配当収益、資金調達側、手数料を別明細で計算する。純額だけでは収益源泉やコーポレートアクション調整の根拠を失う。
| 分類 | 内容 |
|---|---|
| 個別株式 | 一銘柄を参照する。銘柄固有イベントを処理する。 |
| 株価指数 | 指数値と乗数等を参照する。指数再構成と銘柄イベントを区別する。 |
| バスケット | 複数銘柄とウェイトを契約で定める。構成版・リバランスを管理する。 |
| 価格収益/総合収益 | 配当等を含めるかで受払内容が変わる。 |
| 一方向/双方向 | 収益が負の場合の支払方向、損失下限、早期終了条件等を確認する。 |
図19 価格収益・配当・企業行動調整から株式収益側を作る
株式収益側を一つの差額にせず、価格、配当、企業行動調整の構成要素へ分ける。
契約開始後、初期価格確定、日次評価、配当・企業行動処理、定期リセット、受払、満期へ進む。市場障害時の価格決定や延期も契約規定に従う。
| 約定場所 | 主としてOTC。参照銘柄、数量、評価・配当条件を個別合意する。 |
|---|---|
| 中央清算 | 一般に相対管理が中心。対象となるサービスの有無は市場・商品ごとに確認する。 |
| 上場商品との違い | 株価指数先物・上場オプションは標準化された取引所商品であり、個別の配当・資金調達側を持つ株式スワップとは異なる。 |
| 決済 | 現金決済が基本だが、株式受渡しや終了時処理は契約条件を確認する。 |
参照銘柄の市場が上場市場でも、株式スワップ自体が上場取引になるわけではない。参照市場と約定場所を分ける。
| データ群 | 主な項目 |
|---|---|
| 参照対象 | 銘柄/指数/バスケットID、市場、通貨、数量、乗数、ウェイト、構成版。 |
| 価格・配当 | 初期価格、評価価格、情報源、平均化、配当額、税・費用、確定状態。 |
| 資金調達側 | 元本、固定/変動金利、スプレッド、期間、日数計算方式、支払日。 |
| 受払 | 価格収益、配当収益、金利、手数料、為替換算、純額、決済状態。 |
| 企業行動 | 事由、発表・基準・効力日、調整係数、旧新数量・価格、終了条件、決定根拠。 |
現物保有を伴わず株式収益へ連動する場合、所有権・議決権・配当受領とスワップ上の経済的受払を明確に分ける。
将来の仕入価格・販売価格を実質的に固定する、在庫や予定取引の価格リスクを調整するために用いる。商品名だけでなく、品質、場所、時間帯、数量単位を特定する。
契約当事者は固定価格と変動価格の差を交換する。参照市場・価格公表者・現物供給者は通常、スワップ契約当事者とは別である。
図20 商品スワップの仕様・価格観測・価格交換
商品仕様を確定してから価格観測と数量計算を行う。
| 差額 | (変動価格-固定価格)× 契約数量 × 単位換算等。契約方向により符号を適用する。 |
|---|---|
| 商品仕様 | 商品種類、等級・品質、受渡地点、受渡月・時間帯、価格通貨、数量単位。 |
| 価格観測 | 価格情報源、公表時刻、観測日、単一値・算術平均、欠測・訂正・負価格の扱い。 |
| 数量 | 固定数量、日次・月次予定、実績連動、許容幅、単位換算、熱量・密度等の換算条件。 |
| 決済 | 現金差額または現物受渡し、支払日、現物指図、受渡し不能・代替価格。 |
価格と数量の単位を別々に正規化し、元の契約単位も保持する。原油のバレル、電力のMWh等を共通数値へ変換するだけでは契約証跡にならない。
| 分類 | 内容 |
|---|---|
| 固定対変動 | 代表的な商品スワップ。 |
| 平均価格型 | 期間内の複数観測価格を平均して変動価格を作る。 |
| 指数差・ロケーション差 | 異なる指標・地点価格の差を交換する。商品版ベーシス取引。 |
| 現金決済型 | 現物を移転せず差額を金銭決済する。 |
| 現物関連型 | 現物受渡しまたは供給契約と連動する。デリバティブと現物契約を分けて関連付ける。 |
図21 価格観測・平均・商品仕様・数量から差額決済へつなぐ
変動価格だけでなく、商品仕様、数量、単位換算を合わせて初めて支払額が決まる。
評価期間中に価格観測と数量確定を繰り返し、期間終了後に平均・差額を確定する。現物型では指図、品質確認、数量差異も加わる。
| 約定場所 | 商品スワップは主としてOTC。商品・場所・期間を個別合意する。 |
|---|---|
| 中央清算 | 一部標準商品に清算サービスがある市場もあるが、商品・地域ごとに確認する。 |
| 上場商品との違い | 商品先物・上場オプションは限月・数量・受渡条件が取引所で標準化され、個別OTCスワップとは別商品である。 |
| 決済 | 現金差額または現物。現物契約、倉庫・輸送・受渡指図等との連携が必要な場合がある。 |
参照価格が取引所価格でも、商品スワップ自体はOTCである場合がある。参照市場と約定場所を区別する。
| データ群 | 主な項目 |
|---|---|
| 商品定義 | 商品、品質、地点、期間・時間帯、価格通貨、数量単位、換算規則。 |
| 観測 | 観測予定日、価格情報源、公表値、採用値、欠測・訂正、平均対象、観測版。 |
| 数量 | 契約数量、日次・月次予定、実績数量、許容差、単位換算、確定状態。 |
| 計算 | 固定価格額、変動価格額、差額、平均値、換算係数、手数料、税等。 |
| 決済・障害 | 現金/現物、支払・受渡日、口座・場所、指図、受渡不能、市場障害、代替価格。 |
実際の仕入・販売量とヘッジ数量の差、参照価格と実取引価格の差を残余リスクとして把握し、数量・場所・品質を業務要件に含める。
総合収益受取側は参照資産を保有せずに経済的収益へ連動でき、総合収益支払側は資産を保有したまま市場・信用リスクの一部を移転し得る。CDSと異なり、信用事由発生時だけでなく通常時から価格・利息等を継続的に交換する。
TRSでは参照資産の所有権、保管、利息・配当の法的受領者と、契約上の経済的受払を区別する。参照資産の実保有情報は別データとして関連付ける。
図22 総合収益スワップの参照資産収益と資金調達側
参照資産の複数の収益要素を総合収益として資金調達側と交換する。
| 総合収益 | 価格変動+利息・配当+元本回収等を契約条件に従い合算し、費用・税・回収金等を調整する。 |
|---|---|
| 資金調達側 | 想定元本 ×(固定/変動金利+スプレッド)× 日数割合。 |
| 参照資産 | 銘柄・債権・指数・バスケット、数量・額面、優先順位、通貨、満期、価格情報源。 |
| リセット | 評価日ごとに総合収益と資金調達側を決済し、基準価格・想定元本を更新する条件。 |
| 信用・回収 | デフォルト、償還、元本削減、回収、債務再編、売却等の扱い。 |
価格収益、利息・配当、元本回収、資金調達金利、手数料を構成要素別に保存する。最終純額だけではCDS・株式スワップ・証券貸借等との照合ができない。
| 分類 | 内容 |
|---|---|
| 単一資産TRS | 一銘柄・一債権等を参照する。 |
| バスケット/ポートフォリオ | 複数資産と構成比率を参照する。構成版・追加削除を管理する。 |
| 指数TRS | 債券・株式等の指数総合収益を参照する。指数規則に従う。 |
| 資金移転を伴う型/伴わない型の経済性 | 前払いや担保・資金移転を伴う設計もあるため、名称だけで資金受払を決めない。 |
| 期限前終了・資産処分連動 | 参照資産の売却・信用悪化等で終了条件が発動する形がある。 |
図23 総合収益スワップとCDSの受払構造の違い
TRSは通常時から期間収益を交換し、CDSは通常時のプレミアムと信用事由発生時の補償を分ける。
初期価格・構成を確定した後、価格、利息・配当、元本変動、資金調達金利を各期間へ割り当て、リセット・決済する。
| 約定場所 | 主としてOTC。参照資産、収益範囲、資金調達条件を個別合意する。 |
|---|---|
| 中央清算 | 相対管理が中心。清算サービスの対象は商品・市場ごとに確認する。 |
| 上場商品との違い | 参照資産や指数が上場していてもTRS契約自体は通常OTC。先物・ETF等とは別商品である。 |
| 決済 | 定期的な金銭決済が基本。参照資産受渡し・売却連動は契約条件を確認する。 |
TRSは信用デリバティブとして分類される場合も、株式等の資産クラスで分類される場合もある。商品分類軸と参照資産分類軸を分ける。
| データ群 | 主な項目 |
|---|---|
| 参照資産 | 資産ID、発行体・債務者、銘柄、通貨、額面・数量、優先順位、満期、構成ウェイト。 |
| 収益構成 | 基準・評価価格、価格収益、利息・配当、元本回収、費用・税、為替換算。 |
| 資金調達側 | 元本、参照金利、スプレッド、期間、日数計算方式、支払日。 |
| リセット・決済 | 評価日、期間収益、純額、新基準価格・元本、決済状態。 |
| イベント | 信用事象、償還、期限前返済、売却、構成変更、回収、期限前終了、根拠。 |
債券・貸出債権等の経済的収益を移転する場合、参照資産のライフサイクルとTRSの受払・リセットを同期させる。
プロテクションの買い手は信用リスクの補償を受ける側、売り手は補償を提供する側である。参照組織は、信用事由の発生有無を判断する対象ではあるが、通常、CDS契約へ参加せず、プレミアムや補償金を受け払わない。 また、CDSの想定元本と、買い手が実際に保有する債券・貸出残高は別の概念である。CDS取引は、買い手と参照組織の間に債権債務関係がない場合にも成立し得るため、保有債権の存在や残高を商品名から補完してはならない。
図24 CDSの契約当事者と参照組織・参照債務の関係
CDS契約の当事者と、信用状態を参照される主体を分けて見る。
| 用語 | 意味 | システム上の分離 |
|---|---|---|
| プロテクション買い手 | プレミアム等を支払い、信用事由発生時の補償を受ける側 | 取引主体から見た買い・売りと、受払方向を保持する |
| プロテクション売り手 | プレミアム等を受け取り、信用事由発生時に補償する側 | 原取引相手、清算後相手方、参照組織と混同しない |
| 参照組織 | 信用状態を参照する企業、金融機関、国等 | 取引相手マスタではなく、参照対象として取引へ関連付ける |
| 参照債務 | 取引の優先順位や適用条件等を特定するために参照する債務 | 債務識別番号、発行体、優先順位、通貨、満期等を保持する |
| 受渡対象債務 | 現物決済等で引渡し可能な要件を満たす債務 | 参照債務と別に、受渡適格性、数量、選択、引渡結果を管理する |
| 信用事由 | 契約で定める破産、支払不履行、条件変更等の事由 | 一般的な企業状態と、契約上の認定結果を分ける |
「CDS」を一つの商品コードだけで表すことはできない。少なくとも、参照対象の単位、損失を負担する範囲、契約の標準性を分ける必要がある。
| 商品形態 | 参照対象と支払構造 | 主な追加管理項目 |
|---|---|---|
| シングルネームCDS | 一つの企業、金融機関、国等を参照する | 参照組織、取引種類、優先順位、参照債務、信用事由 |
| インデックスCDS | 複数の参照組織から構成される標準的な指数を参照する | 指数名、シリーズ、版、構成銘柄、構成比率、除外・承継、指数係数 |
| バスケット型CDS | 契約で選定した複数の参照組織を参照する | 構成組織、構成比率、信用事由の波及範囲、残存想定元本 |
| エヌ・トゥ・デフォルト | 複数の参照組織のうち、契約で定めた何番目の信用事由で補償が発生するかを定める | 信用事由発生順位、既発生件数、対象除外、終了条件 |
| トランシェ型 | 指数等の損失を一定の開始点・終了点で区切った範囲について負担する | 損失開始点、損失終了点、累積損失、残存トランシェ元本 |
CDSの受払は、通常時のプレミアム・レッグ(プレミアム側の受払)と、信用事由発生時のプロテクション・レッグ(補償側の受払)に分ける。 標準化された取引では定期的な固定率の支払に加えて、約定時の市場水準との差を調整する一括払額が発生する場合がある。したがって、契約レート、定期プレミアム、一括払額、発生時までの経過分を別項目として保持する。
図25 CDSの通常時と信用事由発生時の受払
通常時の定期支払と、信用事由に条件付けられた補償を分ける。
| 受払 | 主な内容 | 主な管理項目 |
|---|---|---|
| 定期プレミアム | 想定元本、契約率、計算期間等に基づく定期的な支払 | 契約率、日数計算方式、計算期間、支払頻度、支払日、金額、状態 |
| 一括払額 | 標準的な定期支払率と約定時の市場水準との差等を調整する約定時受払 | 受払方向、金額、通貨、支払日、算定根拠、決済状態 |
| 市場提示値・約定価格 | CDSスプレッド(信用リスクの取引水準を年率換算した指標)、価格、一括払率等 | 市場の提示方法、契約上の固定率、実際の支払金額を分け、情報源と時刻を保持する |
| 経過プレミアム | 信用事由発生日等までの期間に対応するプレミアム | 起算日、終了日、信用事由日、日数、確定額、補償額との相殺有無 |
| 補償支払 | 信用事由発生後、契約所定の決済方法で支払う金額・額面 | 決済方法、最終価格、想定元本、補償額、受渡債務、決済日、状態 |
信用事由は、企業マスタ上の「倒産」やニュース情報を直接CDS取引へ反映するものではない。契約に取り込まれた定義、対象となる参照組織・債務、事由の発生日、通知、決定機関等に従い、各取引への適用を判定する。 代表例には破産、支払不履行、債務の条件変更等があるが、適用される信用事由は取引種類、参照組織、契約条件によって異なる。金融機関や国を参照する取引では、政府介入、支払拒絶・支払停止等の固有条件が関係する場合もある。
図26 CDSの契約から信用事由・決済までのライフサイクル
取引成立後は定期支払を続け、信用事由の有無によって満期または補償決済へ分岐する。
| 処理段階 | 主な入力 | 主な出力・状態 |
|---|---|---|
| 情報検知 | 参照組織・債務に関する公表情報、通知、外部データ | 候補事象、情報源、検知日時、確認状態 |
| 信用事由判定 | 契約定義、取引種類、参照組織、参照債務、決定内容 | 事由種類、発生日、対象取引、適用可否、根拠 |
| 決済条件確定 | 入札結果、最終価格、受渡適格条件、想定元本 | 補償額、受渡対象債務、決済方法、決済日 |
| 取引終了 | 決済結果、残存想定元本、指数構成の変更 | 全部終了、部分終了、継続、残高・報告更新 |
現金決済では、契約所定の最終価格等を用いて経済的損失相当額を算出し、売り手から買い手へ支払う。概念上は「想定元本×(100%-最終価格)」で表されるが、実際には取引条件、指数係数、経過分、通貨、端数等を反映する。 現物決済では、買い手が要件を満たす受渡対象債務を売り手へ引き渡し、売り手が契約上の額面相当額を支払う。入札が行われる場合は、最終価格の形成と現物受渡しの需要・供給を集約し、契約条件に従って決済へ反映する。
図27 CDSの現金決済と現物決済の違い
同じ信用事由でも、決済方式により必要な資産・受払・データが異なる。
CDSは主としてOTC(店頭取引:取引所を介さず当事者間で条件を合意する取引)で成立する。店頭で約定したCDSは、買い手と売り手が直接相手方となる相対清算の場合と、対象取引をCCP(中央清算機関:売り手と買い手の間に入り双方の法的相手方となる機関)が債務負担する中央清算の場合がある。 中央清算されたCDSは、清算方法が中央清算へ変わるのであって、取引所上場商品へ変わるわけではない。
海外には、社債指数等を参照する取引所上場の信用先物が存在する。ただし、信用先物は標準化された先物であり、参照組織の信用事由に対して補償するCDSとは別商品である。商品分類では、CDSか信用先物か、単一参照組織か指数か、店頭か取引所か、相対清算か中央清算かを独立して持つ。
図28 店頭CDSの相対清算・中央清算と上場信用先物
約定場所、清算方法、商品種類を一つの区分にまとめない。
| 分類軸 | 代表的な区分 | 管理項目 |
|---|---|---|
| 商品種類 | CDS、信用先物 | 商品系統、契約類型、受払生成方法、信用事由条件 |
| 参照対象 | 単一参照組織、指数、契約選定バスケット | 参照対象識別番号、指数シリーズ・版、構成組織 |
| 約定場所 | 店頭、取引所 | 取引基盤、取引所、注文・約定識別番号 |
| 清算方法 | 相対清算、中央清算 | 原取引相手、CCP、清算参加者、清算口座、債務負担状態 |
CDSでは、参照組織を取引相手として持ったり、参照債務を保有有価証券明細から直接参照したりすると、契約関係と信用参照関係が混在する。 CDS取引を中心に、契約当事者、参照組織、参照債務、構成銘柄、プレミアム予定、信用事由、決済、清算を別データとして関連付ける。
図29 CDS取引を中心とした主なデータ関係
取引レコードへすべての項目を集約せず、更新単位の異なるデータを関連付ける。
| データ領域 | 主な項目 | 設計上の注意 |
|---|---|---|
| 商品・取引 | 内部商品識別番号、CDS形態、買い・売り、想定元本、通貨、開始日、満期日、取引種類 | シングルネーム、指数、バスケット、トランシェ等を商品名だけで判定しない |
| 契約条件 | 適用定義、基本契約、確認書、準拠法、信用事由、決済方式、計算代理人 | 定義の版と個別取引の選択・修正条件を再現可能にする |
| 参照組織 | 参照組織識別番号、名称、組織種類、国、取引種類、優先順位、承継先 | 相手方、発行体、保証人との役割関係を明示する |
| 参照債務 | 債務識別番号、証券・貸出区分、通貨、満期、優先順位、保証、標準参照債務区分 | 保有明細や受渡対象債務と同一視しない |
| 指数・構成 | 指数、シリーズ、版、構成参照組織、構成比率、指数係数、適用日 | シリーズ更新と、既存取引の参照シリーズを切り分ける |
| プレミアム | 契約率、支払頻度、日数計算、計算期間、定期額、一括払額、経過分、支払状態 | プレミアム率、価格、金額を別項目として保持する |
| 信用事由 | 事由種類、候補発生日、認定日、決定主体、参照組織、対象債務、根拠、適用取引 | 外部ニュース、企業状態、契約上の判定を別状態にする |
| 補償・決済 | 現金・現物区分、最終価格、回収率、補償額、受渡対象債務、額面、決済日、状態 | 計算結果と使用した入札・市場データを証跡化する |
| 清算 | 相対・中央清算、CCP、清算参加者、清算口座、債務負担日、証拠金、清算状態 | 原取引相手と清算後相手方を分ける |
| 評価・リスク | 信用スプレッド、金利曲線、回収率前提、評価モデル、感応度、評価調整 | 契約上の最終価格・回収率と評価用前提を混同しない |
日本証券クリアリング機構は、CDSを店頭デリバティブ清算として位置付け、2011年7月に清算を開始している。同機構の2025年9月16日時点の案内では、インデックスCDSおよびシングルネームCDS60銘柄が清算対象とされている。 また、同機構は、参照組織は参照される立場でありCDS契約の当事者ではないこと、買い手と参照組織の間に債権債務関係がない場合も取引可能であることを説明している。
ISDA(国際スワップ・デリバティブ協会)は、多くの信用デリバティブ取引で使用される基本用語・取扱いを信用デリバティブ定義として整備している。実際の取引では、適用する定義、取引種類、個別確認書、追加条項、清算機関規則等を確認する必要がある。
先渡・スワップのように双方が対称的な義務を負う線形商品と異なり、買い手は権利、売り手は義務を持つ。価格状態、契約状態、行使可能状態を分ける。
契約当事者、原資産、権利方向、買い・売りを明示する。『コール買い』等の短い表示だけで受払方向を補完すると、通貨・複合商品で誤る。
図30 オプションの権利・プレミアム・行使
買い手の権利と売り手の義務は非対称である。
| プレミアム | 金額・通貨・単位・支払日。後払い・分割・条件付き等は行使時受払と分ける。 |
|---|---|
| 権利行使価格 | 原資産を売買または差金計算する基準価格。単位、通貨、倍率を持つ。 |
| 行使方式 | ヨーロピアン、アメリカン、バミューダン。行使可能日・期間・通知締切を具体的に保持する。 |
| 価格状態 | 判定価格、情報源、判定日時、コール/プットの方向からITM・ATM・OTMを算出する。 |
| 決済 | 現物受渡し、現金差額、先物・スワップ等の別取引生成。決済資産、通貨、日付、口座を持つ。 |
価格状態は評価日時点で変化し得る一方、行使済み・失効等の契約状態はイベント履歴である。両者を一つのステータスコードにまとめない。
| 分類 | 内容 |
|---|---|
| コール/プット | 買う権利/売る権利。通貨オプションでは購入通貨・売却通貨も明示する。 |
| 買い/売り | ロング/ショート。権利と義務、時価の符号、受払方向が異なる。 |
| ヨーロピアン | 原則として所定の単一行使日に行使する。 |
| アメリカン | 行使可能期間内に行使できる。 |
| バミューダン | 契約所定の複数行使日に行使できる。 |
図31 行使方式と権利状態を分けて管理する
行使方式は『いつ権利を使えるか』、契約状態は『権利が今どうなっているか』を表す。
行使可能日が一日か複数か、連続期間かを日付データで表し、行使通知の受付日時・時刻帯・取消可否を記録する。
| 上場オプション | 取引所が原資産、限月、権利行使価格、取引単位、行使・決済規則を標準化する。 |
|---|---|
| 店頭オプション | 当事者が原資産、満期、権利行使価格、条件、決済方法等を個別合意する。 |
| 中央清算 | 上場は通常CCPを通じて清算される。店頭は相対または対象商品を中央清算する。 |
| 決済 | 現物、現金、先物・スワップ等の生成がある。商品仕様とポジションで決まる。 |
『オプション』は契約類型であり、上場・店頭の双方に存在する。商品種類、約定場所、清算方法を別軸にする。
| データ群 | 主な項目 |
|---|---|
| 取引・権利 | 買い/売り、コール/プット、原資産、数量、乗数、権利行使価格、通貨。 |
| 行使条件 | 方式、行使開始・終了・所定日、通知期限、時刻帯、自動行使、最小単位。 |
| プレミアム | 金額、通貨、単位、支払日、決済状態、返還・リベート条件。 |
| 評価・状態 | 判定価格、情報源、日時、ITM・ATM・OTM、内在価値、時間価値、権利状態。 |
| イベント・決済 | 行使通知、割当、失効、条件到達、決済資産・通貨・日付・口座、生成取引ID。 |
オプション共通基盤では、権利条件、原資産固有条件、価格・観測、契約状態、受払・決済を分離し、後続の特殊条件を拡張できる構造にする。
原資産価格の上昇・下落リスクを限定的に移転する基本形である。コール/プットと買い/売りの組合せにより四つのポジションが生じる。
コール買い手は行使時に原資産を買い、プット買い手は売る。売り手側の義務はその反対になる。
図32 コール・プットと買い・売りの四つの組合せ
コール/プットと買い/売りを別軸として確認する。
| 満期時内在価値 | コールは原資産価格-権利行使価格の正部分、プットは権利行使価格-原資産価格の正部分を基礎とする。 |
|---|---|
| 損益 | 内在価値または差金からプレミアム・費用を反映する。売り手は買い手の反対符号となるのが基本。 |
| 数量・乗数 | 原資産数量、契約単位、乗数、部分行使単位を適用する。 |
| 価格判定 | 参照市場、最終価格、判定日時、情報源、市場障害・訂正を管理する。 |
| 決済 | 現物受渡しでは原資産と権利行使代金、現金決済では契約所定の差金を受け払う。 |
ITM・ATM・OTM判定と、プレミアム込みの損益分岐点は別である。ITMでも支払済みプレミアムを回収できない場合がある。
| 分類 | 内容 |
|---|---|
| コール買い/売り | 買う権利の保有/義務。 |
| プット買い/売り | 売る権利の保有/義務。 |
| 現物決済 | 行使時に原資産と代金を受け渡す。 |
| 現金決済 | 参照価格と権利行使価格の差等を金銭決済する。 |
| 上場/店頭 | 標準化された銘柄または個別条件で取引する。 |
図33 コール買いとプット買いの満期損益
権利行使価格を境に、コールは上昇側、プットは下落側で内在価値が生じる。
ポジションは数量を持ち、部分行使・反対売買・期限前解約で残高が変わる。取引履歴と未行使残高を分ける。
| 上場 | 限月・権利行使価格・取引単位が標準化され、建玉・行使・割当を市場規則で処理する。 |
|---|---|
| 店頭 | 満期、価格、数量、行使・決済条件を個別設計する。 |
| 中央清算 | 上場は通常中央清算。店頭は相対または対象商品の清算サービスに従う。 |
| 決済 | 原資産により現物、現金、先物建玉等の生成となる。 |
同じコール・プットでも、上場銘柄と店頭契約では識別階層・行使・割当・決済処理が異なる。
| データ群 | 主な項目 |
|---|---|
| 商品・銘柄 | 原資産、コール/プット、権利行使価格、限月・満期、取引単位、乗数。 |
| ポジション | 買い/売り、取引数量、未行使数量、反対売買、清算口座。 |
| 価格・評価 | 原資産価格、変動率、金利・配当等、ITM状態、時価、感応度。 |
| 行使 | 方式、可能日、通知、割当、部分数量、自動行使、取消し、失効。 |
| 決済 | 現物/現金、原資産数量、代金、差金、通貨、日付、口座、状態。 |
基本の四ポジションを明確に実装すると、後続のキャップ、スワップション、デジタル、バリア、通貨オプションの権利・方向を一貫して表現できる。
変動金利借入れの上昇リスクを抑えつつ低下メリットを残す、または変動金利資産の低下リスクを抑える。各計算期間のキャップレット/フロアレットを明細として扱う。
キャップとフロアは、同じ参照金利・想定元本を使っても判定方向が反対である。カラーは両者を組み合わせるため、構成取引IDを持つ。
図34 キャップ・フロアの金利上限・下限
計算期間ごとの参照金利と上限・下限を比較する。
| キャップレット支払 | 想定元本 × max(参照金利-上限金利, 0)× 日数割合。 |
|---|---|
| フロアレット支払 | 想定元本 × max(下限金利-参照金利, 0)× 日数割合。 |
| 主要条件 | 参照金利、上限・下限、元本、金利決定日、計算期間、支払日、日数計算方式、プレミアム。 |
| 構成 | キャップレット/フロアレットの開始・終了・判定・支払を期間別に生成する。 |
| カラー | 買い・売り、上限・下限、各プレミアム、ゼロコスト設計等の構成条件を別明細にする。 |
契約全体の最終損益だけを計算せず、各期間の参照金利、判定結果、支払額を保存する。カラーは構成取引を相殺しても元の計算結果を残す。
| 分類 | 内容 |
|---|---|
| キャップ | 上限超過を補償するキャップレット列。 |
| フロア | 下限割れを補償するフロアレット列。 |
| カラー | キャップとフロア等の買い・売りを組み合わせる。 |
| デジタル型 | 条件成立時の固定額等を支払う金利デジタル。通常型と支払式が異なる。 |
| 元本変動型 | 期間ごとに想定元本が変化する。ヘッジ対象の元本予定と照合する。 |
図35 キャップレット列とカラーの組合せ
キャップは一つの満期オプションではなく、各金利期間に対応する権利の集合である。
プレミアム決済と、期間ごとの条件付き支払を分ける。期限前解約では未到来期間と確定済み期間を区別する。
| 約定場所 | 主としてOTC。参照金利、期間、上限・下限を個別合意する。 |
|---|---|
| 中央清算 | 相対管理が中心。対象可否は清算サービス仕様を確認する。 |
| 上場商品との違い | 金利先物オプションは取引所の先物を原資産とし、キャップレット列そのものではない。 |
| 決済 | 金利差額の金銭決済。各期間の支払日とプレミアム日を分ける。 |
キャップ・フロアは金利オプションであり、金利スワップの固定・変動差額を定期交換する商品とは支払の条件性が異なる。
| データ群 | 主な項目 |
|---|---|
| 契約・構成 | キャップ/フロア/カラー、構成取引ID、買い/売り、上限・下限、プレミアム。 |
| 期間明細 | キャップレット/フロアレットID、計算期間、決定日、支払日、元本、状態。 |
| 金利・判定 | 参照金利、情報源、決定値、上限・下限との比較、ITM状態、訂正。 |
| 計算・決済 | 超過・不足幅、日数割合、支払額、通貨、純額、決済状態。 |
| イベント | 構成変更、部分解約、期限前終了、金利訂正、差額処理。 |
変動金利資産・負債の上限・下限管理では、ヘッジ対象の元本・金利期間と各構成オプションの対応を期間単位で照合する。
将来の借入れ・債券発行・投資等に備えて金利条件を保護しつつ、行使しない選択肢を残す。オプション契約と行使後の対象スワップを別取引として関連付ける。
買い手・売り手のオプション関係と、行使後の固定支払・固定受取方向は別軸である。ペイヤー/レシーバーを誰の視点か明示する。
図36 スワップションの行使と決済分岐
行使後に金利スワップを生成する場合と差額決済する場合を分ける。
| 権利 | ペイヤー/レシーバー、買い/売り、ヨーロピアン/バミューダン等。 |
|---|---|
| 対象スワップ | 通貨、想定元本、固定金利、参照金利、スプレッド、開始日、満期、頻度、日数計算方式。 |
| 行使 | 行使日・複数行使日、通知期限、時刻帯、自動行使、部分行使。 |
| 現金決済 | 決済金利・参照曲線・評価方法・年金現価等、差金通貨・決済日。 |
| プレミアム | 金額、通貨、支払日、分割・後払い等。 |
オプションの時価と、行使後対象スワップの時価を混在させない。現金決済額の算出方法は確認書で定義し、単純にスワップ時価と同じとしない。
| 分類 | 内容 |
|---|---|
| ペイヤー | 固定支払スワップを開始する権利。 |
| レシーバー | 固定受取スワップを開始する権利。 |
| 物理決済 | 行使時にIRS取引を生成する。 |
| 現金決済 | 契約所定の方法で差金決済する。 |
| バミューダン/キャンセラブル構造 | 複数行使日やスワップの解除権を含み得る。権利対象を明示する。 |
図37 行使後に開始するペイヤー/レシーバー金利スワップ
スワップションの方向は、行使後に買い手が固定金利を支払うか受け取るかで表す。
契約時に対象IRS条件を凍結し、行使可能日まで評価・担保を管理する。行使後はオプション終了と対象IRS開始を関連付ける。
| 約定場所 | 主としてOTC。対象スワップと行使条件を個別合意する。 |
|---|---|
| 中央清算 | スワップション自体は相対管理が中心。行使後IRSの清算可否は別途判定する。 |
| 上場商品との違い | 金利先物オプションは先物を原資産とし、IRS開始権であるスワップションとは異なる。 |
| 決済 | 物理的にIRSを開始するか、契約所定の現金差額を支払う。 |
行使後のIRSが清算対象でも、スワップション約定時から中央清算取引になるとは限らない。原オプションと生成取引を分ける。
| データ群 | 主な項目 |
|---|---|
| オプション | 買い/売り、ペイヤー/レシーバー、プレミアム、行使方式・日、満期。 |
| 対象IRS | 通貨、元本、固定・変動条件、開始・満期、頻度、日数計算方式。 |
| 評価・決済 | 金利曲線、変動率、決済金利、評価方法、物理/現金、差金額。 |
| 行使・生成 | 通知、行使数量、生成取引ID、生成日時、清算判定、残存数量。 |
| 状態 | 未行使、行使済み、部分行使、失効、期限前終了、決済済み。 |
将来の調達・運用に備える場合、対象IRS条件と実際の予定取引条件の対応を確認し、行使後のフロント・清算・決済・会計連携まで設計する。
共通オプションエンジンと原資産固有処理を分けるための比較区分である。『バニラ』は単純という意味であって、上場または店頭を表す言葉ではない。
共通条件には権利・買売・行使価格・満期等を持たせ、原資産別条件には価格源、数量単位、固有イベント、決済資産を持たせる。
図38 原資産別バニラ・オプションの固有条件
権利の基本構造は共通でも、原資産ごとに数量・イベント・決済が変わる。
| 共通条件 | コール/プット、買い/売り、行使価格、満期、行使方式、数量、プレミアム。 |
|---|---|
| 株式 | 株数、取引単位、配当、企業行動、権利調整、現物/現金。 |
| 指数 | 指数コード、算出主体、乗数、最終清算数値、差金決済日。 |
| 債券・先物 | 額面、価格単位、対象先物限月、受渡適格性、最終取引・受渡条件。 |
| 商品 | 品質、地点、数量単位、限月、参照価格、現物・先物・差金決済。 |
共通の内在価値式へ原資産固有の乗数・数量・価格単位を適用する。企業行動等で調整前後の行使価格・数量が変わる場合は履歴を保持する。
| 分類 | 内容 |
|---|---|
| 個別株式オプション | 銘柄固有イベントと現物受渡しを扱う。 |
| 株価指数オプション | 指数と乗数による現金決済が代表的。 |
| 債券/債券先物オプション | 額面、先物建玉・受渡規則を扱う。 |
| 商品オプション | 商品仕様・限月・現物/先物/現金を扱う。 |
| 上場/店頭 | 同じ原資産でも標準化銘柄と個別契約がある。 |
図39 共通オプション条件と原資産固有条件の分離
権利・行使の共通項目へ、各原資産の数量・価格・イベント・決済仕様を組み合わせる。
上場では銘柄定義・限月・行使価格別建玉、店頭では確認書条件を基礎に処理し、原資産イベントで条件調整を行う。
| 上場 | 株式・指数・債券先物・商品等の標準化オプションがある。商品仕様は取引所ごとに異なる。 |
|---|---|
| 店頭 | 数量、満期、行使価格、条件を個別設計する。 |
| 中央清算 | 上場は通常中央清算。店頭は相対または対象清算サービス。 |
| 決済 | 現物、現金、先物建玉等。原資産別仕様で決まる。 |
『上場株式を参照する店頭オプション』と『取引所上場株式オプション』を区別する。参照資産の上場性とオプションの約定場所は別である。
| データ群 | 主な項目 |
|---|---|
| 共通 | コール/プット、買い/売り、行使価格、満期、行使方式、プレミアム。 |
| 原資産 | 資産種類、銘柄・指数・商品、通貨、市場、価格情報源。 |
| 数量・単位 | 株数、指数乗数、債券額面、商品数量・単位、取引単位。 |
| イベント | 配当、分割、合併、償還、信用事由、限月、品質・地点変更。 |
| 決済 | 現物/現金/先物、受渡資産、数量、代金、差金、日付、口座。 |
共通エンジンと資産別拡張を分けることで、新しい原資産を追加しても権利・行使の基本ロジックを維持できる。
特定水準の到達・未到達に対して固定的な受払を設計する。境界値の等号、判定時刻、価格情報源のわずかな違いが支払有無を変える。
買い手は条件成立時の支払権利を持つ。原資産・価格公表者は契約当事者とは別であり、価格訂正時の扱いも定める。
図40 デジタル・オプションの条件判定と固定支払
条件境界の成立可否によって支払額が段階的に変化する。
| 判定 | 判定価格、条件水準、上側/下側、以上・超過・以下・未満、判定日時、情報源。 |
|---|---|
| 支払 | 固定額または原資産、金額・数量、通貨、支払日。 |
| プレミアム | 金額、通貨、支払日、返還・条件付きの有無。 |
| 市場障害 | 価格未公表、取引停止、訂正、代替価格、判定延期。 |
| 複合条件 | 複数水準、複数原資産、バリア等との組合せは条件式と構成要素を分離する。 |
判定結果だけでなく、演算子、判定対象値、元データ、時刻帯、丸め前後を保存する。微小な丸め差で支払有無が変わるためである。
| 分類 | 内容 |
|---|---|
| 固定金額支払 | 条件成立時に契約所定の金額を支払う。 |
| 原資産支払 | 条件成立時に原資産または相当価値を支払う。 |
| コール型/プット型 | 上側/下側の条件方向。 |
| ワンタッチ/ノータッチ等 | 期間中の到達有無を使う形はバリア観測も必要となる。 |
| 複数資産・複数条件 | AND/OR、最良・最悪等の条件式を明示する。 |
図41 デジタルとバニラの支払額の違い
デジタルは境界を超えた時点で固定額へ跳ぶのに対し、バニラは差額に応じて連続的に増える。
約定・プレミアム決済後、判定日時まで評価し、所定価格を取得して条件式を評価し、成立時支払または失効へ進む。
| 約定場所 | 主としてOTC。判定条件・支払額を個別設計する。 |
|---|---|
| 上場 | 標準化された類似商品が存在する市場もあるが、商品仕様で確認する。 |
| 中央清算 | 相対管理が中心。対象可否は商品・市場ごとに確認する。 |
| 決済 | 現金または原資産。判定と決済の通貨・日付を分ける。 |
『デジタル』『バイナリー』『ワンタッチ』等の名称は市場慣行で使い分けがあるため、支払式・観測条件を主情報とする。
| データ群 | 主な項目 |
|---|---|
| 条件 | 原資産、条件水準、上側/下側、比較演算子、判定日時・時刻帯、価格情報源。 |
| 支払 | 固定額/原資産、金額・数量、通貨、支払日、プレミアム。 |
| 判定実績 | 元価格、丸め前後、採用価格、条件式版、判定結果、確定者・日時。 |
| 例外 | 未公表、市場障害、代替価格、延期、訂正、再判定、取消し。 |
| 決済 | 支払ID、金額・資産、口座、状態、失効、差額調整。 |
境界条件の厳密さが最も重要な商品であり、テストでは境界直下・一致・直上、未公表・訂正・時刻帯を網羅する。
一定期間に分散して生じる仕入れ・販売等の実価格へヘッジを近づけ、一時点の価格変動の影響を抑える目的等で用いる。観測予定と観測実績を分ける。
価格情報源は契約当事者とは別である。各観測の公表時刻・訂正と、契約上の採用可否を管理する。
図42 アジアン・オプションの観測列と平均値
複数の観測明細から平均値を確定して行使・支払判定へ使う。
| 観測予定 | 観測開始・終了、観測日一覧、頻度、時刻、価格情報源、休日調整。 |
|---|---|
| 平均方法 | 算術/幾何、単純/加重、ウェイト、丸め段階、観測数。 |
| 欠測 | 未公表、市場障害、休日、代替日・代替価格、除外条件。 |
| 平均価格型 | 平均原資産価格と固定行使価格の差等を用いる。 |
| 平均行使価格型 | 満期価格等と平均化された行使価格の差等を用いる。 |
観測値の丸め、平均値の丸め、最終支払額の丸めを区別する。分母となる観測数を予定数と採用数のどちらにするか契約条件で確認する。
| 分類 | 内容 |
|---|---|
| 平均価格型 | 平均価格を原資産価格として使う。 |
| 平均権利行使価格型 | 平均価格を権利行使価格として使う。 |
| 算術平均 | 観測値を加重合計しウェイト等で除する。 |
| 幾何平均 | 観測値の積に基づく平均。算術平均と計算・評価が異なる。 |
| 固定/可変ウェイト | 観測日ごとのウェイトを契約で定める場合がある。 |
図43 観測列から平均値・支払判定へつなぐ
複数の観測値を取得・検証してから平均値を確定し、最後に行使・支払額を判定する。
観測予定を契約時に生成し、値取得・採否・補完・訂正を反映する。平均確定後の訂正可否と差額処理も定める。
| 約定場所 | 主としてOTC。観測列・平均方法を個別設計する。 |
|---|---|
| 上場 | 平均価格を使う標準化商品がある市場もあるが、仕様を確認する。 |
| 中央清算 | 相対管理が中心。対象可否は商品・市場ごとに確認する。 |
| 決済 | 現金差額が代表的。現物・先物等の扱いは契約条件による。 |
『アジアン』という名称だけで算術平均、日次観測、平均価格型を決めず、具体的な観測・平均・支払式を保持する。
| データ群 | 主な項目 |
|---|---|
| 観測条件 | 開始・終了、観測日、頻度、時刻帯、価格情報源、休日・市場障害規則。 |
| 観測実績 | 予定日、実観測日、価格、採否、ウェイト、補完・訂正、状態、版。 |
| 平均計算 | 算術/幾何、分子・分母、観測数、平均値、丸め、計算版。 |
| 権利・判定 | 平均価格型/平均行使価格型、比較対象、ITM状態、行使・失効。 |
| 決済 | 支払額、通貨、決済日、口座、再計算差額、状態。 |
大量の観測データを扱うため、再現性、例外処理、版管理、差額再決済がシステム設計の中心となる。
通常のバニラより条件を限定してプレミアムを調整する、特定価格帯でのみ保護・投資効果を得る等に用いる。到達イベントを永続化する。
バリア条件という契約属性と、実際の観測・到達イベントを分ける。二つのバリアや複数観測源も明細化する。
図44 バリア・オプションの価格経路と状態変化
現在価格ではなく監視期間中の価格経路が権利状態を変える。
| バリア | アップ/ダウン、ノックイン/アウト、水準、単一/二重、監視開始・終了。 |
|---|---|
| 観測 | 連続/離散、観測日時、価格情報源、買値・売値・中値等、等号、時刻帯。 |
| 状態 | 未到達、到達候補、到達確定、有効化、消滅、取消し・再判定。 |
| リベート | 到達時/満期時等の金額、通貨、支払日、条件。 |
| 基礎権利 | コール/プット、買い/売り、行使価格、満期、行使方式、決済方法。 |
現在の価格がバリア外へ戻っていても、過去到達により権利状態が変わっている。取引再構築に市場データ履歴だけを頼らず到達イベントを保存する。
| 分類 | 内容 |
|---|---|
| アップ・アンド・イン/アウト | 上側水準への到達で有効化/消滅。 |
| ダウン・アンド・イン/アウト | 下側水準への到達で有効化/消滅。 |
| ダブル・バリア | 上下一組のバリアを監視する。 |
| 連続/離散監視 | 全時間帯または所定時刻だけを観測する。 |
| リベートあり/なし | 権利消滅時等の補助支払を定める。 |
図45 バリア到達による権利状態の変化
同じ到達イベントでも、ノックインは権利を有効化し、ノックアウトは権利を消滅させる。
連続監視をシステムが直接行うか、外部判定結果を受けるかでデータ粒度が異なる。少なくとも到達根拠を監査可能にする。
| 約定場所 | 主としてOTC。バリア条件を個別設計する。 |
|---|---|
| 上場 | 標準化された類似商品がある場合もあるが、商品仕様を確認する。 |
| 中央清算 | 相対管理が中心。清算・証拠金は対象商品要件による。 |
| 決済 | 基礎オプションの現物/現金に、リベート等が追加される。 |
『バリア』という名称だけでは状態遷移を決められない。方向、イン/アウト、監視、等号、リベートを組み合わせて商品を識別する。
| データ群 | 主な項目 |
|---|---|
| 基礎権利 | コール/プット、買い/売り、行使価格、満期、行使方式、決済。 |
| バリア条件 | イン/アウト、アップ/ダウン、水準、単一/二重、等号、監視期間。 |
| 観測 | 予定・実日時、価格、情報源、時刻帯、採否、連続/離散、状態。 |
| 到達イベント | 候補・確定、到達日時・価格、判定者、根拠、取消し・訂正関連。 |
| 状態・決済 | 未到達、有効化、消滅、行使、失効、リベート、差額調整。 |
状態依存商品なので、契約条件、観測、判定、状態遷移、受払をイベント駆動で設計し、境界テストと訂正テストを重視する。
将来の外貨受払レートを保護しつつ、有利な為替変動の利益を残す目的等で用いる。通貨Aを買う権利を買う場合だけでなく、その権利を売る場合、通貨Aを売る権利を買う場合、その権利を売る場合がある。権利方向と買い/売りを別々に明示する。
『USDコール』等の表示は相手通貨とポジション方向を省略している。通貨Aコールを買う取引では、買い手は行使時に通貨Bを渡して通貨Aを受け取る権利を持つ。通貨Aコールを売る取引では、売り手は行使された場合に通貨Aを渡して通貨Bを受け取る義務を負う。システムでは購入通貨・売却通貨・権利方向・買い/売りを分離する。
図46 通貨オプションの権利方向と買い・売り
通貨Aコール/プットについて、権利を買う場合と売る場合を分ける。
| 権利方向 | 通貨Aを買う権利か、通貨Aを売る権利か。通貨Aコールは通貨Bプットでもある。 |
|---|---|
| ポジション方向 | 権利を買うのか、権利を売るのか。売り手は行使された場合の義務を負う。 |
| 権利行使レート | 単位通貨に対する相手通貨額、通貨ペア順、価格単位、小数桁、乗除方向。 |
| 通貨金額 | 購入通貨額、売却通貨額、基準とする金額、部分行使単位。 |
| プレミアム | 支払者・受取者、通貨、金額、単位、支払日。購入・売却通貨と別の場合がある。 |
| 行使・判定 | 行使方式・日、通知期限、判定レート、情報源、通貨ペアから見た有利・不利の方向。 |
| 決済 | 現物二通貨または差金、決済通貨、参照レート、日付、口座、同時決済。 |
通貨ペアを反転表示するとレートは逆数関係となり、コール/プット、上昇/下落、バリア到達方向も反転する。単純な文字列反転や符号反転で変換しない。
| 分類 | 内容 |
|---|---|
| デリバラブル | 有効に行使された場合、購入通貨と売却通貨を現物で受け渡す。 |
| ノンデリバラブル | 契約所定の判定レートを用い、差額を一つの決済通貨で支払う。 |
| 行使方式 | ヨーロピアン、アメリカン、バミューダン等により、行使可能日・期間が異なる。 |
| 条件付き | バリア、デジタル、アジアン等では、価格経路、条件判定、観測列を追加する。 |
| 上場/店頭 | 標準化された銘柄または個別に合意した条件で取引する。 |
図47 通貨Aコールを行使した場合の二通貨受渡し
権利の買い手と売り手では、契約時プレミアムと行使時の通貨A・通貨Bが異なる方向に動く。
基礎となる通貨オプションに、為替レートが契約所定のバリア水準へ到達した場合の効果を加える。ノックインは到達により権利が発生し、ノックアウトは到達により権利が消滅する。アップ/ダウンは通貨A/通貨B等の表示レートが上昇・下落する方向を表すため、通貨ペアの表示順を変えると判定方向も変わる。
| 基礎権利 | 通貨コール/プット、権利の買い/売り、行使レート、満期、現物/差金決済。 |
|---|---|
| バリア条件 | アップ/ダウン、イン/アウト、単一/二重、水準、等号、監視開始・終了。 |
| 監視 | 連続または所定時刻、価格情報源、時刻帯、市場障害、到達候補・確定。 |
| 到達後 | 権利の有効化・消滅、リベート、基礎オプションの行使可否、訂正・取消し。 |
図48 バリア型通貨オプションの表示方向と到達判定
通貨ペアの表示方向を固定し、監視期間中の為替レートがバリアへ到達したかを判定する。
契約所定の為替条件を満たした場合に、固定額等を支払う。満期等の一時点で判定するヨーロピアン型と、期間中に水準へ到達したかを判定するワンタッチ/ノータッチ型等では、必要な観測データと状態遷移が異なる。
| 判定条件 | 通貨ペア、比較対象レート、条件水準、以上/超過等の演算子、判定日時。 |
|---|---|
| 経路判定 | ワンタッチ、ノータッチ、ダブルタッチ等では監視期間と到達イベントを持つ。 |
| 支払 | 固定額または所定通貨額、支払通貨、支払時期、条件成立時/不成立時の扱い。 |
| 証跡 | 使用価格、情報源、時刻、丸め、等号、判定結果、訂正・再判定。 |
図49 デジタル型通貨オプションの判定と固定支払
満期等の一時点で判定する型と、監視期間中の到達有無で判定する型を分ける。
複数の観測日の為替レートから平均値を算出し、支払額または行使条件へ用いる。平均レート型は平均レートと固定行使レートを比較し、平均行使レート型は満期レート等と平均化した行使レートを比較する。
| 表示基準 | 全観測を同じ通貨ペア順・同じ価格単位へ揃える。反転レートを混在させない。 |
|---|---|
| 観測予定 | 観測日、時刻、価格情報源、ウェイト、休日調整、欠測時の代替規則。 |
| 平均計算 | 算術/幾何、単純/加重、観測値・平均値・支払額の各丸め段階。 |
| 訂正 | 観測値訂正時に、平均値、行使判定、支払額をどの時点まで再計算するか。 |
図50 アジアン型通貨オプションの観測レートと平均
同じ表示方向の為替レートを複数日観測し、契約所定の平均レートを作る。
満期・行使日と実際の通貨決済日は異なる場合がある。行使通知後に通貨別指図を生成し、決済結果を追跡する。
| 約定場所 | OTC外国為替市場が中心だが、取引所上場の通貨オプションも存在する。 |
|---|---|
| 中央清算 | 上場は通常中央清算。OTCは相対管理が中心で、対象制度は確認する。 |
| 上場商品との違い | 上場では通貨ペア、限月、価格、単位、行使・決済が標準化される。 |
| 決済 | 現物二通貨または差金一通貨。決済サービス利用を約定場所と分ける。 |
BISの市場統計でもFXオプションはOTC外国為替商品の一分類として扱われる一方、上場商品もある。個別取引の約定場所で判定する。
| データ群 | 主な項目 |
|---|---|
| 当事者・ポジション | 権利の買い手・売り手、プレミアム支払者・受取者、取引主体から見た買い/売り。 |
| 通貨役割 | 購入通貨、売却通貨、単位通貨、相手通貨、プレミアム通貨、決済通貨。 |
| 権利 | コール/プット、権利の買い/売り、行使方式・日、通知期限、数量・部分行使。 |
| 価格 | 行使レート、表示順、単位、小数桁、判定レート、情報源、時刻帯、丸め。 |
| バリア | アップ/ダウン、イン/アウト、水準、等号、監視期間、到達日時・価格、リベート。 |
| デジタル | 判定条件、ヨーロピアン/タッチ型、固定支払額、支払通貨・時期、判定結果。 |
| アジアン | 観測予定・実績、表示基準、価格、採否、ウェイト、欠測補完、平均値、訂正。 |
| 決済 | 現物/差金、通貨別金額・口座・指図、同時決済、片側状態、再決済。 |
| イベント | 行使、失効、到達、権利発生・消滅、価格訂正、再判定、差額調整。 |
二通貨方向、価格表示、権利、観測、決済を同時に扱うため、前段の商品で分離した各データ要素を統合して確認する総仕上げとなる。