信用リスク
債務者や取引相手が契約どおりに債務を履行できず、銀行が損失を被るリスクである。 貸出だけでなく、債券、デリバティブ、保証、決済途上取引等にも関係する。
信用リスクを詳しく見る銀行が直面する主要なリスクを、管理の流れとシステム実務の両面から整理する
リスク管理は、損失額を計算するだけの作業ではない。 リスクの所在を把握し、受け入れる水準を定め、実績を監視し、必要な対応を判断したうえで、 計測方法と対応結果を継続的に検証する一連の管理である。 リスクの種類が異なっても、基本となる管理の流れには共通点がある。
金融系SE(金融システムエンジニア)が銀行のリスク管理を理解するための中核として、 次の五つを学習順に整理する。各項目を選ぶと、このページ内の概要へ移動する。 五つの中核解説ページは、各概要のボタンから詳しい解説へ移動できる。
債務者や取引相手が契約どおりに債務を履行できず、銀行が損失を被るリスクである。 貸出だけでなく、債券、デリバティブ、保証、決済途上取引等にも関係する。
信用リスクを詳しく見る金利、為替、株価、商品価格等の市場変動により、保有する取引や残高の価値が変化して損失が生じるリスクである。 市場データ、保有残高、評価方法、感応度、損失額を結び付けて管理する。
市場リスクを詳しく見る必要な資金を適切な条件で確保できないリスクと、保有資産を市場で円滑に換金できないリスクである。 将来の資金流入・流出、調達手段、換金可能な資産、厳しい状況への備えを管理する。
流動性リスクを詳しく見る預金・貸出・債券等の金利更改時期や満期のずれにより、金利変動が銀行の収益や経済価値へ影響するリスクである。 資産・負債の総合管理と密接に関係するが、ここでは金利リスクの計測・管理を中心に扱う。
銀行勘定の金利リスクを詳しく見る業務手続、人、システムが適切に機能しないことや、災害・犯罪等の外部事象によって損失が生じるリスクである。 損失事象の記録、原因分析、統制、再発防止、業務継続を一続きで管理する。
オペレーショナルリスクを詳しく見る実際の銀行経営では、五つのリスクを別々に見るだけでは不十分である。 共通の方針・管理体制・報告経路を設け、リスク間の相互関係と銀行全体への影響を確認する必要がある。 次の論点は当面この分類トップで全体像を扱い、独立ページにはしない。
異なる種類のリスクを共通の枠組みで把握し、銀行全体の健全性・収益性・資本との関係を管理する。
経営方針と事業戦略に照らし、どの種類のリスクをどの水準まで受け入れるかを明確にする。
通常より厳しい市場・信用・資金繰り等の状況を仮定し、損失、資本、収益、流動性への影響を検証する。
部門や業務が負うリスクに応じて管理上の資本を割り当て、収益とリスクのバランスを評価する。
営業・取引部門、リスク管理部門、内部監査、経営会議等の役割と、報告・承認・対応の経路を定める。
前提条件、データ、計算方法、限界を確認し、計測結果が管理目的に照らして妥当かを継続的に検証する。
リスク計測では、取引データだけでなく、市場データ、信用情報、担保、限度、計測条件、結果、承認状態を結び付ける必要がある。 商品、契約、取引、保有残高、キャッシュフロー、計測結果を一つのレコードへ集約せず、相互の関係を識別子で追跡できる構造が重要となる。
| 区分 | 主な管理対象 | システム上の着眼点 |
|---|---|---|
| 主体・組織 | 顧客、債務者、取引相手、発行体、部店、法人、連結対象 | 同一主体の名寄せと、取引ごとの役割を分けて管理する。 |
| 商品・取引 | 商品、契約、取引、保有残高、キャッシュフロー、担保 | 管理単位と識別子を明確にし、元取引と派生する残高・受払を追跡する。 |
| 基準情報 | 市場データ、信用格付、商品属性、通貨、金利、期間 | 基準日、取得元、有効期間、適用した値と版を保存する。 |
| 管理条件 | 限度額、計測方法、前提条件、厳しい状況の想定、適用範囲 | 誰が、いつ、どの条件を承認し、どの計測へ適用したかを再現可能にする。 |
| 結果・状態 | 計測結果、限度使用状況、超過、警告、承認、訂正、再計測、確定 | 結果だけでなく、入力データ、計算方法、処理時点、状態遷移を追跡する。 |
| システム間データ連携 | 取引システム、会計、担保、リスク計測、経営報告等の間で受け渡すデータ | 連携元、基準日、受信・処理時刻、連携識別子、差異、再連携、再処理を管理する。 |