AIとの付き合い方 ― いろいろ一緒にやってみて思うこと
ここしばらく、AIとかなりいろいろなことをやってきました。
最初は、分からないことを質問したり、文章を少し直してもらったりするくらいだったと思います。でも、使っているうちにだんだん変わってきました。
Androidアプリを作ったり、プログラムのエラーを一緒に調べたり、金融規制について調べたり、ホームページを作ったり。個人事業のことを相談することもあります。
今では、「何か分からないことがあったら聞く」というより、何かを一緒に作ったり、考えたりする相手という感じに近くなっています。
とはいえ、AIに全部任せれば何でもうまくいく、ということでもありません。むしろ、いろいろ一緒にやってきたからこそ、AIの便利なところと、気を付けた方がいいところの両方が少しずつ分かってきた気がします。
このコラムでは、AIの専門的な仕組みを説明するというより、僕自身が実際に使ってきて感じた「AIとの付き合い方」について書いてみようと思います。
「答えを聞く」より「一緒に考える」
AIを使い始めた頃は、
- これはどうすればいい?
- このエラーは何?
- この文章を直して
という使い方が多かったと思います。もちろん、それだけでも十分便利です。
ただ、長く使っていると、それよりも
- 僕はこう考えているんだけど、どう思う?
- この案に問題はない?
- もう少し良くするとしたら?
みたいな使い方の方が、自分には合っていると感じるようになりました。
例えばホームページを作る場合でも、最初から完璧なものが出来上がるわけではありません。
一度作ってみて、実際の画面を見る。
「ちょっと情報が多いな」
「同じことを何度も書いている気がする」
「ここからどこに進めばいいか分かりにくいな」
と感じたことをAIに伝える。すると、また別の案が出てくる。それを見て、さらに直す。
こういうやり取りを何度か繰り返していくと、最初の案とはかなり違うものになっていることがあります。
だから僕は、AIは完成した答えを出してもらう道具というより、考えを行ったり来たりさせながら形にしていく相手として使う方が面白いと思っています。
AIも普通に間違える
一方で、AIは普通に間違えます。
それっぽく自信ありげに答えていても、後で調べてみると違っていたり、こちらの意図を少し勘違いしていたりすることがあります。
つい最近も、ホームページの一部分だけを修正するためのコードを、ホームページ全体に使えるようにも受け取れる形で渡されてしまい、実際に貼ってみたらホームページのほとんどが消えてしまいました。
幸い元に戻せましたが、こういうこともあります。
だから、「AIがそう言ったから、そのままやる」ではなく、「本当にこれでいいのかな?」と最後に確認することは大事だと思っています。
特に、プログラム、税金、金融規制、ホームページの設定など、間違えたときの影響が大きいものはなおさらです。
逆に言えば、「これ、本当に合ってる?」「もう一度確認して」「公式資料も見て」と普通に聞き返せばいい。AI相手だから遠慮する必要もありません。
最新情報は、最後に元の資料へ戻る
AIを使っていて特に気を付けているのが、情報が変わるものです。
税制、金融規制、ソフトウェア、WordPressの設定などは、以前は正しかったことが今も正しいとは限りません。
金融規制について調べるときも、AIに説明してもらうだけではなく、最終的には金融庁の告示やQ&A、日本銀行、バーゼル銀行監督委員会などの一次資料に戻って確認するようにしています。
AIは、難しい資料を読む前に全体像をつかんだり、「どこを確認すればいいのか」を探したりするのにはとても便利です。
でも、最後の根拠そのものまでAIにしてしまうのは違うと思っています。
AIで理解を助けてもらい、必要なところは元の資料で確認する。
この使い分けがちょうどいい気がします。
会話だけを「記録」にしない
もう一つ、長い作業を一緒にやっていると感じることがあります。
それは、AIとの会話だけに全部を残しておくのは危ない、ということです。
アプリ開発ならソースコードはGitHubに置く。作業の途中なら、どこまで終わったのかを引継ぎ資料に残す。仕様を決めたなら、それを文書にしておく。
AIが前の話を覚えていてくれることは便利ですが、それだけを唯一の記録にしてしまうと、長い作業では困ることがあります。
これは人間同士で仕事をするときとあまり変わらないのかもしれません。
会話は相談の場所、正式な状態は別に残す。
そうしておくと、AIとの作業もかなり安定します。
AIを使うと、人間が考えなくてよくなるわけではない
AIを使うと、確かに作業は速くなります。
文章のたたき台を作る。プログラムの修正案を作る。大量の情報を整理する。比較表を作る。考えていることを別の形で言い直してもらう。
こういう作業は、かなり助けてもらえます。
でも一方で、
- 何を作るのか
- 誰のために作るのか
- どこまで作るのか
- 本当に正しいのか
- この案を採用するのか
という判断は、結局こちらに残ります。
むしろ、AIがたくさん案を出してくれるようになった分、どれを選ぶかという判断の方が大事になったようにも感じます。
作業を手伝ってもらえる分、人間は判断することに集中できる。
という方が近いのかもしれません。
AIにも得意なことと苦手なことがある
使っていると、何でも同じように任せるのではなく、AIにも向いている仕事と向いていない仕事があると分かってきます。
例えば、たたき台を作る、整理する、比較する、別の視点を出す、コードの候補を作る、といったことはかなり得意です。
一方で、実際の画面でどう見えるか、自分が本当に使いやすいと感じるか、業務上その判断で問題ないか、といったことは、最後は自分で見たり試したりしないと分かりません。
ホームページ作りでも、コードだけ見ていると良さそうなのに、実際に表示してみると「ちょっと違うな」と感じることがあります。
AIに作ってもらう。
自分で見る。
違和感を伝える。
また直す。
この繰り返しが、今のところ一番うまくいっています。
「何でもやってくれる人」ではなく、共同作業者
AIを使う前は、もっと「質問すると答えてくれるもの」というイメージでした。
今は少し違います。
相談すれば案を出してくれる。
分からないことを一緒に調べてくれる。
作るのを手伝ってくれる。
こちらが変だと思えば何度でもやり直せる。
その一方で、勘違いもするし、間違えることもある。
AIは「何でもやってくれる人」ではなく、
とても速いけれど、ときどき勘違いする共同作業者。
くらいに考えるのが、ちょうどいいと思っています。
全部を任せる必要もないし、逆に必要以上に警戒する必要もない。
自分が考えていることを伝えて、返ってきたものを見て、また考える。間違っていれば直す。良ければ使う。
そんな付き合い方を続けているうちに、いつの間にか、一人でやっていた頃よりずいぶん色々なことができるようになりました。
AIとの付き合い方に正解があるのかは分かりません。でも、少なくとも僕にとっては、「使う」というより「一緒にやる」くらいの距離感が合っているようです。

